TCGと「運ゲー」と運ゲー批判

オーガ池袋のカンファレンスで説明された内容で、気に入らない話が1つある。他のblog等でも話題になっているが、運ゲー関係の話である。
要約すると「WSは運要素の高いゲームシステムになる。運ゲーが嫌いな人はMTGかD0をやれば良い。」と言う話である。
気に入らないのは以下の点。

運ゲーと言うのは、批判する場合に使う言葉である。
運ゲー批判というのは、ゲームシステムや大会運営方式において、運だけで勝敗が決まってしまう部分が存在して、納得できない場合に出てくる。
運要素が高いのは構わないが、全ての運ゲー批判を「WSは運要素の高いゲームだ」と言う事で無視しないで欲しい。

TCGはユーザが選択する要素が多い。具体的には、メタゲームに基くデッキ選択・デッキ構築・プレイングである。「ゲームに勝つ」事を目的としてこれらの選択を行う事が、TCGの楽しさであると言える。だから、これらの選択に関係なく、運だけでゲームの勝敗が決まってしまうとの言うのは、批判に値する。
言い換えるなら、運だけで勝敗が決まらないのであれば、運要素の高低はゲームの面白さと無関係である。
MTGもD0も、シャッフルしたデッキからカードを引く以上、運要素はある。しかも、これらのゲームは1ターンに引ける枚数が1枚である。1ターンに2枚以上引けるゲームと比べて運要素が高いといえる。
しかし、これらのTCGが「運ゲーでないTCG」として挙げられるのは何故か? それは、ゲームシステムや大会運営方式において、運だけで勝敗が決まる部分に対して何らかの対策をして解決し、運だけでゲームの勝敗が決まらないようにしているからである。
運ゲー」と批判されるTCGは、MTGやD0では解決されている問題を放置してるから批判されるのである。
以下に、運だけで勝敗が決まる部分と、MTGやD0での解決策を列挙しておく。

○先攻/後攻
・問題点:
一般論として、一手先に動けるのだから、大抵の先攻の方が有利となる。先攻後攻の決め方はジャンケンなどランダムな方法が一般的である。
先攻の勝率が著しく高いと、メタ読み・デッキ構築・プレイングに関係なく勝敗が決まるので、批判の対象になる。

・解決策:
先攻は1ターン目のみドローをしない等、リソースに差を付ける事で先攻の有利さを軽減する。

○初期手札
・問題点:
ゲームシステムによっては、特定のカード(MTGなら土地、GWならジェネレーション)が初期手札に一定枚数無いとゲームにならない場合がある。

・解決策:
両方のプレーヤーが引き直し(マリガン)を行える。
特定のカードが無いとゲームにならないシステムにしない。

○ドローの運
・問題点:
シャッフルしたデッキからカードを引く以上、運要素はある。

・解決策:
1マッチ1本制ではなく、1マッチ複数本制で大会を運営する。

○マッチング
・問題点:
対戦相手はランダム。対戦相手の使用デッキが、会場のデッキ分布と同じ比率になるとは限らない。
例えば、メタを読んで会場の7割が選択しているデッキに勝てるデッキを選んだとして、残り3割とばかりマッチングされる。
もしくは、地雷を踏む。

・解決策:
優勝するには全勝縛りとなるシングルエリミネーション(トーナメント方式)ではなく、1〜2敗が許される「スイスドロー+上位によるシングルエリミ」で大会を運営する。

ソリティアデッキ
・問題点:
先に機能した方が勝つ。または、先攻を取った方が勝つ。
すなわち、ゲームをしていない。

・解決策:
意図しないソリティアデッキが発生してしまった場合、即座にエラッタを出して対応する。エキスパンション発売1週間後だろうと、大きな決勝大会の1〜2週間前だろうと対応する。
デザイナーズデッキとしてソリティアデッキを用意するのは問題外。テストプレイの手順を正しく踏んでいないのは論外。