今日のカード「活発な幼女マリア」他4枚

マリアに《お菓子》技が与えられているなら、小鳩ちゃんにも《肉》技が与えられていても良い気がする。作品中で小鳩ちゃんは食材としての“お肉”が好きなのだから。お誕生日会の日の夕食のシーン辺り、そうなっても良さそう。
とは言え、マリアはお菓子が好きなキャラでは無いんだけどね。単に食い意地が張った大食いキャラなだけであって。話の序盤ではポテチばかり食べているけど、お菓子に限らない大食らいさはお泊り会の話や遊園地の話や映画撮影の話などで発揮されている。

■活発な幼女マリア
リング更新を発生させるベンチ要員。
多分、2枚以上並ぶと強過ぎるから、こんなテキストになったのだろう。実質ターン1回しか使えない自動能力だが、ターン1回しか解決されないのはベンチに何人いても一緒。自動能力の誘発自体はリングにマリアが置かれた場合に発生するが、控え室に置けるのは1回だけ。解決時にリングにいるマリアが、このターン中に山札からリングに置かれた1枚目のカードの場合のみ解決可能。
例えば、ベンチにこのカードが2枚いて、マリアがリングインしたら自動能力は2回誘発する。が、実際にリングを控え室に置けるのは最初の1枚目だけ。1回目で控え室に置く事を選んだら、2回目の方は「このターン中、あなたの山札からリングに置かれた1枚目のカード」という条件を満たせないので、解決されない。

あと、リングに置かれた1枚目のマリアがエントリースパークを持っていた場合の処理について。
実は、エントリースパークと「活発な幼女マリア」の自動能力のどちらを先に処理しても良い。
エントリースパークを先に解決してから、リングのマリアを控え室に送っても良いし、その逆の順番でも良い。
エントリースパークが、自分のリングのキャラを選んで良い影響を与えるような効果だったら、先に「活発な幼女マリア」の自動能力を解決してからエントリースパークを解決するような順番で処理する方が得だろう。次に出てきた、最終的にリングに残るマリアに良い効果を与えられる。逆に「ケンカするマリア」みたいに“このカードを”パンプするようなエントリースパークなら、どっちから先に解決しても影響が無い。
対戦相手側は、どちらを先に解決されても良いようにキャンセルを使わないとならない。例えば「次にエントリーするマリアが何かを確認してから、エントリースパークをキャンセルする」なんて事は相手が許さないとできない。誘発している自動能力のどちらにもキャンセルは打てるが「キャンセルしません」と言ってしまったら、マリアを使っている側の人が好きなの方を1つ先に解決してしまう。先にエントリースパークを解決されてしまう事もありえる。無論、先に「活発な幼女マリア」の自動能力を解決するのなら、次にエントリーするマリアが何かを確認してから、先に誘発してるエントリースパークをキャンセルする事も可能。
また、同様にリングに置かれた1枚目のマリアがエントリースパークを持っていて、先に「活発な幼女マリア」の自動能力を解決して出てきた2枚目のマリアもエントリースパークを持っていた場合、2つのエントリースパークが誘発された状態になるが、この解決順も解決時にマリア単デッキの持ち主が決める事ができる。

■ケンカするマリア
全てのプレイヤーはベンチのカードを1枚まで選んで手札に戻す訳だが、何枚戻すかの選択は、総合ルール「1.3. ゲームの大原則」の1.3.4.より、ターンプレイヤーから行う。つまり、相手のターンに「ケンカするマリア」がエントリーしたなら相手が先に選ぶし、自分のターンにエントリーしたなら自分が先に選ぶ。

■お構いなしのマリア・にらみつけるマリア
参照がマリア単用の技属性《お菓子》ではなく、『僕は友達が少ない』作品共通で参照できる称号<隣人部>になっている。
その分、効果が弱くなっている。
この手の作品共通の参照は、キャラ単だけでなくキャラ混成でもデッキが組めますよってアピールの為に用意されているみたいだが、正直不要。技属性《お菓子》参照のカードにして、他の技属性《お菓子》参照のカードと同程度の使い勝手のカードを増やして、キャラ単の構築の幅を少しでも広げてくれたほうが嬉しい。

今日のカードは夜空4枚

濃い《黒》技参照と薄い《ヒロイン》技参照って事は、アニメ1期の時のカードと混ぜて使えるデザイン。
これで、メインヒロイン6人中5人までがアニメ1期のカードと混ぜて使えるデザイン。2人くらいはアニメ1期のカードと必要としないデザインになると思っていたのに。
正直、夜空の技属性が《黒》なのは今となっては意味不明なので、変えて来るのもアリだとは思っていた。と言うか、1エキスパンション3作品だった初期の電撃G'sマガジン・SEGAコミックブレイドドラマガの頃に作られた技属性は、原作再現の観点から見ると意味不明なものが多いので、できれば廃止する方向に持って行って欲しいのだけど。当時は作品を越えてデッキを組めたり相互作用が発生させたりする意図があったと読み取れるんだけど、それが参戦作品の方向性と一致していなかった。萌え属性とか声優名とかを技属性にしていれば、理解は出来たのだけど。
もっとも、アニメ1期のカードを必要としないデザインにするなら、アニメ2期から登場する生徒会のメンバー、遊佐葵・日高日向・大友朱音・神宮寺火輪あたりにするのが妥当かもしれない。

■照れる夜空
2つある技の内、下《ヒロイン》技の方、ちょっと言葉足らずで色々な解釈が可能で困るよ。
(1)キャラフェイズのプレイタイミングに、総合ルールの6.5.1.2.4.に従ってサプライズ置場にカードを置いて1枚ドローする行動を実行する際、サプライズ置場にカードが置かれていても実行可能。つまり、置いた後に1ドロー可能で、ターン1回に制限されているサプライズ置場に触れる行動に含まれる。
(2)キャラフェイズのプレイタイミングに、総合ルールの6.5.1.2.4.や6.5.1.2.5.とは別の行動として、サプライズ置場にカードが置かれているなら手札からサプライズ置場にカードを置ける。つまり、置いた後に1ドローはできないが、ターン1回に制限されているサプライズ置場に触れる行動に含まれない。例えば、空のサプライズ置場に手札から置いて1ドローした後、引いてきたカードをそのターンの内にサプライズ置場へ置き直す事が可能。
(3)キャラフェイズに限らず、サプライズ置場にカードが置かれているなら、好きなタイミングで手札からサプライズ置場にカードを置ける。つまり、相手が1回目にパートナーアタックしてきたらアタック解決ステップ(リングがリタイヤ置場に置かれてリングが更新されるタイミング)辺りに、対応して誘発できるサプライズ持ちのカードを置く事が可能。

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多分、(1)の解釈が正しそうだけど。
この辺りは、発売と同時にルールサマリーで補足されて欲しいですね。
もしくは、現状の総合ルールの記述内容で(1)の解釈ができるよう、「8.10.置換効果の処理」に示されたテンプレートに従ったテキストに改められるとか。例えば「永続:[リング]あなたのリタイヤが4枚以上なら、あなたは自分のキャラフェイズでサプライズ置場のカードを控え室に置くかわりに、{手札からサプライズ置場にカードを置き、カードを1枚引く。}をしてよい。」とか。

ちなみに、いずれの場合も、元からサプライズ置場にあったカードは、ルール処理の「9.5.カードの重複処理」によって次のチェックタイミングに捨て札されます。

■手を差し伸べる夜空
マリアの時も書いたけど「技を使う」ってテキストが『僕は友達が少ないNEXT』で初出だから、発売日に合わせて総合ルールが改定されないと正しい裁定がどうなるか何とも言えない。
遊宝洞のツイッターで「なんと、“条件に関係なく”パートナーアタックの終わりにサプライズを踏ませることができてしまいます!」って書かれているけど、例えば「メイド服の夜空」の場合、1回目のパートナーアタックと言う条件は無視できるとして、「あなたのリタイヤが全て《黒》なら」も無視できるのだろうか?
多分、無視できるのは誘発条件だけだと思うけどね。

−−−
僕は友達が少ない』のカードのテキストは、Vスパークが遊宝洞の仕事である事を忘れて、アクエリやLycee並の猜疑心を持って検討しないと駄目な気がする。
前々から、ブシロードや遊宝洞はヴィクトリースパークを新人教育の練習台にしてるような雰囲気があって、他の遊宝洞製TCGと比べてテキストに不備が多いように見受けられる。多分ユーザが指摘したのか、テキストに併せて後から総合ルールが変更される事が時々あるし。
僕は友達が少ない』の場合、カードテキストが怪しい事象が特に顕著である。

今日のカードは理科4枚

今日は理科。
月曜日の段階でメルマガにて別のカードが公開されていて、アニメ1期の時のカードと同様、《煩悩》を参照するデザインを継承してるので《煩悩》技が残り、《メガネ》技は無くなっている。
理科のかけている《メガネ》が伊達眼鏡なのは、1期アニメの放映当時から原作の方では判明している話だったので、幸村が女の子だった事と同様に、デザイン時に折込済みだったのだろう。
《煩悩》の方も、原作では理科に「相手によってキャラを変えて対応している」と言う設定が追加されていて、小鷹ら隣人部相手に出している人格は「変態ビッチ路線」なキャラ作りをした結果だと説明されている。だから原作再現的に変えてくるかと思ったが、今回のエキスパンションは「アニメ1期の時のカードと混ぜて使える」がコンセプトらしく、原作との不一致を是正できなかった模様。
そう言うコンセプトなら仕方ないのかな。

あと、幸村同様、ピン除去が作品名『僕は友達が少ないNEXT』参照。「相互参照可能作品群」のルールによって、アニメ1期のカードと混ぜて使えるデザインである。
アニメ1期のカードと混ぜて使えないようにデザインするなら、相互参照可能作品群のルールの影響を受ける『』でくくられた作品名の参照ではなく、相互参照可能作品群のルールの影響を受けない“”でくくられた文字列参照にするはずである。{作品名に“僕は友達が少ないNEXT”を含む〜〜}とすれば、ルール上はアニメ2期のみを参照するデザインになる。
シャイニング・ハーツ』や『BabyPrincess』の原作とアニメ版、『これはゾンビですか?』のアニメ1期と2期を相互参照可能作品群に指定しておいて、『僕は友達が少ない』の1期と2期を指定しないなんて解りにくい事をブシロードはしないと思うよ。

今日のカードは幸村4枚

登場当初は男の娘だと思われていたキャラですが、アニメ2期で実は女の子だった事が判明した幸村。
アニメ1期の頃には既に原作で女の子だって事が判明していたので、アニメ1期の時に作られたカードは性別の話は織り込み済みだと思っていた。予想通り、アニメ2期から作るカードも性別表記は男女併記で、男参照の効果ですね。

「嬉しそうな幸村」のピン除去は、リタイア置き場の作品名『僕は友達が少ないNEXT』を参照しているからアニメ2期のカードのみのデッキでないと使えないように見えるけど、実は違う。Vスパークには「相互参照可能作品群」ってルールがある。例えば、アニメ1期とアニメ2期で作品名が微妙に違う場合に、アニメ1期の作品名参照でアニメ2期の作品名を持つカードも参照できるようにルールだ。多分、『僕は友達が少ない』もアニメ2期が出たら「相互参照可能作品群」に指定されるから、アニメ1期のカードを入れていても問題なく参照できるはずである。

ちなみに2期の途中から、隣人部での幸村の服装はメイド服から執事服に変る。メイド服を着てるってだけで、別に幸村の職業はメイドではないが、技属性《メイド》が付いていたが、執事服を着てるシーンでは、これが《執事》にでもなるのだろうかね?
ただ、「嬉しそうな幸村」は私服のシーンだけど《メイド》技を持っているんだよなぁ。

今日のカードはマリア4枚

小鳩ちゃんの次はマリアと、幼女2連続。世間一般だと『はがない』で1番人気のキャラは星奈だと言うのに、ブシロードの中の人はVスパークのユーザはロリコンだと思っているのか? 否定はできないけど。
特筆すべきは原作再現の一環として《先生》が無くなっている事。詳しい説明は下記参照。
http://tocage.jp/blog/3153/1364025534.html
推測するに、昨日のメルマガで公開された理科から《煩悩》が消えてなかった事から、原作での設定変更や前のエキスパンションでの考証ミスで、現状の原作に合わない内容となった原作再現要素の内、前のカードと混ぜて使う際に支障にならない技属性などは直すが、支障が出るものについては前のままにする方針らしい。
流石にマリアは《うんこ》を持ったりしなかった。残念。

■天才シスター マリア

特殊F。
コレに関しては2つルール上の疑問が生じている。
(1)上の技で選ばれたエントリースパーク技はキャンセルできるのか?
要は「このカードの技として使う」の部分をどう処理するのか。
ツイッターで浅野Dに質問を投げたら、こんな回答が帰ってきた。

https://twitter.com/nakaji_c/status/326544987275796482
@nakaji_cなかじー
@saintearRX 今日公開の特殊Fのマリアについて質問。起動能力の「このカードの技として使う」の具体的な処理は「選んだスパークが自動能力として誘発するだけ」「選んだスパークの効果を即座に解決」のどちらですか?

https://twitter.com/saintearRX/status/326691436076605444
@saintearRXVスパ浅野D@saintear
@nakaji_c その2つから選ぶと、前者になります。発売時にQ&A等でも補足いたします。

正確な事は発売日に更新されるであろう総合ルールやQ&Aを待つとして、現状の方針としてはキャンセルできる方向で裁定を出す模様。
自動能力が誘発して、この技の効果でアビリティフェイズが終了しているから、実際に選ばれたエントリースパーク技をキャンセルしたり解決したりするのは、次にチェックタイミングが発生するアタックフェイズ中のアタック宣言ステップになるのだろう。
ちなみに、このカードの技になるのだから、シスプリの「可憐」等で技属性を付与して対応する技属性を参照するキャンセルでキャンセル可能になるだろう。

(2)「リタイヤが全て《お菓子》」の条件を満たさない場合、このフェイズが終了するのか?
どうやら、終了しないらしい。
こんな感じのテキストを持つ自動能力の場合は、総合ルール8.6.5.「解決領域に置かれた自動能力を解決する時、その条件を満たす事ができなくなった(例 「〜を選ぶ」で示された項目が選べない。「〜したら」で示された項目を実行できない。「〜なら」で示された項目が存在しない。等)場合、その行動および、その後に続く行動は解決されますが、何も起きなくなります。」の適用を受けて終了しないのだが、この項目をなぜか起動能力にも適用すると言う回答を、「落ち込む栞/雄弁図書委員」の起動能力について質問した人がもらっているとの事。
http://tocage.jp/blog/3790/1366189158.html

■虫をつつくマリア

サプライズの効果でリングを空ける事が可能=エントリースパークが誘発する。
ツイッター上で「エントリースパークによって新たにサプライズ置き場にサプライズ持ちのカードを置いた場合、そのサプライズを誘発できるか?」って話が質問されていた。
答えは誘発しない。
総合ルール7.1.6. 「アタック終了ステップ」にて、サプライズが誘発するステップの手順が説明されている。7.1.6.1.にある通り、最初にサプライズが誘発して、その後でチェックタイミングが発生する。チェックタイミングが発生した後は、特にステップ内を最初から実行し直すような記述は無い。
なので、サプライズが1回誘発した後、エントリースパーク等で新しくサプライズ置き場に置かれたサプライズは誘発しない。
ちなみに、エンドフェイズの手順には(6.8.)、手札が上限を超えている限り、エンドフェイズの手順を最初からやり直すと言う記載がある。だから、例えばリタイア置き場に『BabyPrincess』の「立夏/四女」がいる状態で手札条件を超えていて「ヒカル」を捨て札した場合、「立夏」の自動効果でドローして再び手札上限を超えたら何度でも手札上限を超えた分を捨て札する。

今日のカードに小鳩ちゃん4枚

今日から『僕は友達が少ないNEXT』のブースターのカード公開ですね。
初日から小鳩ちゃん4枚(パートナー2組)とか飛ばしてますね。
前のブースターのカードとの兼ね合い(混ぜて使えるのか?)が気になっていたのですが、小鳩ちゃんは混ぜて使えるデザインのようですね。
メルマガでも理科のカードが公開されていて、同じように混ぜて使えるデザインでした。
前のブースターのカードが参照している技属性を同様に持っていて、かつ、NEXTの方のカードも参照している技属性が前と一緒でした。
NEXTはアニメ2期目からのカード化です。今回のブースターから始める人は少なく、買う人の大半は1期アニメの時に出たカードを持っている事でしょう。NEXTは混ぜて使える方が正しい選択だと言えます。
これが例えば『BabyPrincess』のような最初のカード化時はアニメになっておらず、2回目のカード化時はアニメ化の後の作品だと、2回目のカード化の際に前の買う人の中には、前のカードを持っていない事が想定されて、混ぜて使えない方が正しくなります。

先週発売した『シャイニング・アーク』がキャラを混ぜて使えるデザインのエキスパンションでしたから、『僕は友達が少ないNEXT』がキャラ単を続けるのか、キャラを混ぜるデザインに転向するのか気になっていましたが、NEXTはキャラ単を継続するようで安心しました。
キャラ単が相応しい作品と相応しくない作品を切り分けて、相応しい作品はキャラ単を続行し、相応しくない作品はキャラを混ぜて使えるデザインにする、と言うのがブシロードの方針みたいですね。
最近のブシロードの姿勢が、TCGマニアやコアユーザ寄りに見えていたので危惧していたのですが、無分別にTCGマニアやコアユーザに迎合するのではなくて、ライトユーザと共存させるような方針なのでしょう。

『這いよれ!ニャル子さん』ブースターの感想

TVアニメ2期目の参戦も決まって来月にはTDも出るので今更だけど、感想を書いてなかったので。

クー子とハス太君のキャラ単デッキが組めない件

まず、クー子とハス太君のキャラ単デッキが組めないのは無いわ。
これに不満を持っている人は多い。クー子やハス太君のキャラ単を組もうと思った人は購入を取り止めたんじゃないかな?
この作品の主人公である真尋さんを攻略するヒロインは3人いて、ニャル子さん・クー子・ハス太君な訳ですが、この内でキャラ単デッキを組めるのはニャル子さんだけ。商品として重大な欠陥と言わざるを得ないかと。
クー子やハス太君のキャラ単が組めないデザインって意図が解らない。
全45種類のカードプールで、ニャル子さんが33種類なのに対して、クー子が7種類、ハス太君が1種類である。ニャル子さん15種類、クー子15種類、ハス太君14種類で、この3人のキャラ単デッキが組める構成で良かったのではないか?
あー、クー子やハス太君のキャラ単が組めないと原作ファンのSAN値が下がって発狂するのが原典再現って意図なのか。SAN値が下がるわ。

キャラ混成デッキで実現できる原作再現も行われて無い

キャラ単デッキが組めなくても、キャラを混ぜてデッキを組めるならそれに応じた原作再現もあるかと思ったらら、そんな事も無かった。
原作ではニャル子さん・クー子・ハス太君は小学校時代からの幼馴染で、小学校時代に練習した3人1組で放つ合体技も存在します。Vスパーク上ではこの3人に真尋さんを加えて技属性《混沌》を軸にしてデッキを組む事が出来ますが、ニャル子さん・クー子・ハス太君の3人を並べると3人1組で放つ合体技「一にして全、全にして一なるトリプレットマキシマム」が打てるような原作再現も存在しません。
また、原作では、虚弱貧弱無知無能な地球人である真尋さんを、防御に戦力を割いてまで、事ある毎に宇宙的なトラブルの現場に引き出すのは、命中率と回避率にプラス100パーセントの補正がかかる支援効果があると言う設定が存在するのですが、Vスパーク上では、ベンチに真尋さんがいたらニャル子さん・クー子・ハス太君がパンプされるような原作再現は存在しません。
それどころか、原作の人間関係を考えると違和感のあるカードすら存在します。それはニャル子さんの万能PBが作品共通の技属性を参照してるのでクー子を守れる事。クー子メインのデッキを組もうとすると枚数が足りないのでニャル子さんのカードで作品共通の技属性を参照している基本パーツを入れざるを得ないのですが、クー子の万能PBが無くてニャル子さんの万能PBになるので、この様な違和感のある構成になってしまいます。

パートナーシステムに関する話

また、Vスパークには「パートナーシステム」と言う原作中の人間関係を再現する為のガジェットがあるんだけど、「クー子はニャル子さんの事を愛してるけど、ニャル子さんは種族的対立からクー子の愛を受け入れてない」とか「ニャル子さん・クー子・ハス太君は惑星保護機構の構成員として地球人の真尋さんを危ない目に遭わせる事はできずに守らないとならない一方、宇宙的なトラブルの現場でも真尋さんが一緒に居るとやる気が上がる」とか「ハス太君は真尋さんの事を好きで合体したいと思っている一方、ルーヒーにも好意を寄せている」とか、そう言う部分を全く再現していない。
クー子とハス太君のキャラ単デッキが組めなず、ニャル子さん以外のキャラは混成デッキになるようなデザインをしたのだから、人間関係の原作再現ぐらいは行うべきだったかと。

もっとも、1番最後の関係性はパートナーシステムでカード化できるが、前2つの関係性はパートナーシステムでもカード化できないけどね:-p
例えばニャル子さんのパートナーが真尋さんと言うデザインだったとしよう。
パートナーによる効果は下記の2つ。
・リングにいるカードは、ベンチのパートナーにサポートされるとパートナーアタックになる
真尋さんにサポートされてニャル子さんがパワーアップするのは原作通り
・リングにいるカードがダメージを受けた時、手札のパートナーを捨て札にする事でダメージを無効化する
真尋さんを犠牲にしてニャル子さんのダメージを軽減だと? 原作的には逆だろ?

そもそも、パートナーシステムはVスパークの前身である『サンデーVSマガジン』で少年漫画の原作再現を行うために作られたガジェットである。Vスパークでは、ギャルゲーやハーレムラノベの人間関係を再現するには適してないので、そう言う作品では、同じキャラの別のカード同士をパートナーとする運用となっている。
原理主義的なキャラ単デッキ否定派がパートナーシステムを根拠に「同一キャラがパートナーなのはおかしい」的なキャラ単デッキを行うが、パートナーシステムの実体は『僕は友達が少ない』の星奈と小鳩の関係性すらカード化できない代物である。ハーレム物のラノベやギャルゲーが参戦作品となり、1エキスパンション1作品の商品仕様で1キャラから大量のカードを作らないとならないのであれば、同一キャラがパートナーになるデザインは仕方ないのではないか?カードゲームとして成立させる為に原作的に関係ないキャラ同士をパートナーにされる事と比較すると、同一キャラ同士のパートナーは許容できるかと。

パロディ要素の原作再現

這いよれ!ニャル子さん』って作品は、原作にしてもアニメ版にしても、古今東西の様々な作品のパロディが盛り込まれている。多様なパロディが作品の魅力の1つとなっている。
これをTCG業界から見た場合、パロディ元となっている作品の内の幾つかはTCG化されている。だから、原作でなんらかのパロディであるシーンをカード化するのであれば、そのパロディ元がTCG化されているなら、カードの効果もパロディ元となったシーンやキャラがTCG化された際の効果のパロディになっているのが好ましい。
例えば『ジョジョの奇妙な冒険』のシュトロハイムの台詞をパロディしたシーンをカード化するのであれば、『ジョジョの奇妙な冒険』を題材としたTCGである『ジョジョの奇妙な冒険Adventure Battle Card』のシュトロハイムの効果とパロディにするとか。
だが、他社のTCGの効果をパロディにするのは難しいかもしれない。もしくは、同じブシロード社のTCGでも、ルールが違うTCGからパロディにするのも難しいかも知れない。
しかし、少なくともアニメ最終話の12話「夢見るままに待ちいたり」はAパート全体が『うる星やつら』のパロディで構成されていて、グタタンはうる星におけるラムの立ち位置にいた。そして、『うる星やつら』はVスパークの前身であるサンデーVSマガジンの参戦タイトルであった。
カード化されたグタタンに、サンマガのラムの効果のパロディになっているカードが存在しないのは残念である。
うる星やつら』がサンマガ参戦作品だった事は、Vスパークの前身がサンマガだった事による数少ないメリットの1つである。それを活かさないでどうするんだろうか? 今、現役のアニメ製作者に『うる星やつら』が与えた影響は大きく、よくパロディやオマージュの対象となっている。最近では、『えびてん』でも最終話の10話が『うる星やつら』のパロディ回であった。

構築の幅は広がったのか?

上にも書いたけど、全45種類のカードプールでニャル子さんが33種類。ニャル子さんのキャラ単を組むのであれば、構築の幅が広がったように見える。
けど、ユーザが求める構築の幅って、メタゲームに応じてキャンセルや除去等の基本パーツを増減したり、耐久力が高い方に寄せたりとかの調整の幅を出す事。
残念ながら、そう言う幅は出なかった。
ニャル子さんのカードプールの中で、キャンセルと万能PBは1種類ずつしか無かった。
これでは構築の幅が出てるとは言いがたい。
むしろ、キャンセルと万能PBは3種類のデッキタイプどれにも入るのに1種類しか収録されていないので、需要が集中して品薄・高騰が発生している。

技属性と称号

これは悪くなかった。
作品共通の技属性が《混沌》。実際に《混沌》なのなニャルラトホテプだけなのだが、作品共通の技属性って位置づけに文句を言っても仕方ない。他の作品で《混沌》が相応しいキャラが出て来た時にどうするか気になるけど。
ニャル子さんが《土》、クー子が《火》、ハス太君が《風》なのは、ダーレスの設定した四大元素の分類に基づいたもの。
ニャル子さんに《妹》とか《宇宙人》とか《黒》とか付いてなくて良かった。
ブシロードがちゃんと原典を研究した結果なのだろう。まぁ、遊宝洞みたいな電源不要ゲームのデザイン会社には、クトゥルフ物に詳しい人が何人も居ても不思議は無いから、そう言う人達が口を出した結果なのかも知れない。電源不要ゲームにはクトゥルフ物を題材とした名作ゲームが幾つかある。そう言う理由で、電源不要ゲームが好きな人にはクトゥルフ物に造詣の深い人が多い。そもそもSAN値ってネタも電源不要ゲームの物だし。

称号も、基本が元ネタとなった種族名で、ニャル子さんだけデッキが2系統組めるように、<ニャルラトホテプ>の他に<這いよる混沌>が用意されている。
将来的に他のクトゥルフ物がVスパークに参戦した際に、原典繋がりのデッキが組めるような配慮だと考えられる。もっとも、日本語の作品の場合、音訳が作品によって微妙に異なるのをどうするか気になるんだけど。Nyarlathotepだと<ニャルラトホテプ>と<ナイラーラトテップ>と<イアルラトホテップ>とか、Hasturだと<ハスター>と<ハストゥール>とか。

総括

このエキスパンションが出る直前のヴィクトリースパークは、メインヒロインとか人気あるキャラのキャラ単デッキが組めるカードプールを提供していた。つまり、原作のファンが組みたいと思うようなデッキが組めるTCGだった。だから個人的には『這いよれ!ニャル子さん』のブースターも同じようになると安心をしていた。
キャラ単デッキばかりデザイナーズデッキとして用意する事に対して、原作関係なくVスパークをTCGとしてプレイしてる層が「キャラ単デッキばかりがデザイナーズデッキと用意されていて、構築の幅が狭い。キャラ単デッキなんて組みたい奴が組める程度のデザインにしておけば良い。キャラ単デッキ縛りになるデザインをやめて、構築の幅の広いカードデザインにしろ」とか主張していた。
現状のキャラ単用のカードプールと言うのは、1キャラ当たり13種類〜15種類しか用意されていないから、確かに構築の幅は狭い(Vスパークは50枚のデッキを構築して1種類4枚までデッキに投入できる)。デッキ構築が「52枚から2枚を抜く作業」とか「60枚から10枚を抜く作業」とか揶揄されている。
多分、そう言う批判意見に対して、考えも無く配慮した結果なのだろう。
ニャル子さんのキャラ単は、称号<這いよる混沌>軸が19種類からデッキを構築できるカードプールだった。構築の幅は広がった。
その代わり、割を食ったのがクー子とハス太君だ。クー子は7枚だけ。これではキャラ単が組めない。ハス太君に至っては1枚しかカード化されていなかった。
キャラ単デッキが組めなくても、キャラを混ぜてデッキを組めるならそれに応じた原作再現もあるかと思ったらら、そんな事も無かった。
今回のエキスパンションを買って満足できるのは、キャラとしてのニャル子さんが好きな人か、特定のキャラに執着しない原作からの『這いよれ!ニャル子さん』の作品自体のファンだけだろう。例えば、アニメから入って、クー子やハス太君を気に入った人は満足できない。
ちなみに「原作関係なくVスパークをTCGとしてプレイしてる層」ってのは基本的にスパイクだから、デッキが強ければキャラ単でも買うし、構築の幅が広くてもデッキが弱ければ買わないよ、多分。
『シスターズプリンセス』『ベイビープリンセス』の原作再現性の悪さを批判していた俺からすれば、何で「キャラ単デッキと言うベターな解決策」を手放しのたのか理解できないよ。
構築の幅を増やすのは別に反対ではないが、キャラ単を組めなくしてまで行う必要は無かった。