『望刻の塔』『エキストラエクスパンション BLAZBLUE』のバランスに関する懸念

まだエキスパンションの全貌が解っていない状況でこんな事を言い出すのは不審に思われるかもしれないが、今月に出る『望刻の塔』と『エキストラエクスパンション BLAZBLUE』は、バランスに関して問題は無いか?という疑念を俺は払拭できない。
何故か?
と言うか、今の状況で何でこんな事を言い出すのか?
俺はSEの仕事をしているので、ソフトウェア開発時に使う概念を、TCGの開発に照らし合わせる事がある。
そう言う物の見方をした時、品質管理の観点から、今回のエキスパンション開発には無理があるように見て取れるのだ。

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以前のエントリで書いた通り、ここ数年アクエリは年間450種前後のカードをデザインしている。
http://d.hatena.ne.jp/Nakaji_c/20100112#p3
が、2月発売のエキスパンションは、
『望刻の塔』が198種
『エキストラエクスパンション BLAZBLUE』が111種
あり、合計で309種をデザインした事になる。
例年の実績と比べて、年間のデザイン枚数の2/3に相当する枚数をデザインした事になる。
『修行者の魂』開発完了後から今回の2エキスパンションを開発したと仮定した場合、1年の1/4の期間になるから、例年の実績では115枚程をデザインしてる期間に3倍近いカードをデザインした事になる。
解り易い言い方をすると、12人月で115単位の開発量だったのが、同じ人月で309単位の物を開発した事になる。クオリティに疑問符が付くのは当然であろう。

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もう少し緩やかな計算として、2010年2月期全体でスケジューリングして開発したと仮定しよう。
つまり、『絶神の戦車』開発の頃から前倒しで開発を進めて『望刻の塔』と『エキストラエクスパンション BLAZBLUE』の開発リソースを捻出したと言う仮定だ。
2009年2月期全体のデザイン枚数が468種。
2010年2月期全体のデザイン枚数は699種。
約1.5倍。
やはり、クオリティに難があるように思える数字が出てきた。

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ちなみに、人手に関して言えば、残業したり、臨時にバイトを増やしたりして予算を増やせば対応できるだろうが、開発期間の短さは発売延期でもしない限り対応できない。
そもそも、アクエリのデザイン枚数増加に伴って、相応の予算をブロッコリーが付けているか怪しい。
何故か?
ブロッコリーが展開している『プロジェクトレヴォリューション』と言うTCGに、サポートを打ち切るのでは無いかと言う兆候がある。
去年12月に出たG'sマガジンのエキスパンション以降、次のエキスパンション発売の予定も発表されていないし、2010年度の大会予定も発表されていない。
TCG1タイトルのサポートを維持できない状況なのに、アクエリの開発に追加予算を計上できる訳が無い。

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誤解の無いように言っておくと、アクエリの開発スタッフに問題があるって言ってる訳じゃないからね。デベロッパー側ではなくて、パブリッシャー側が無理な要求をした結果、クオリティが下がる事を懸念してるんだよ。*1

*1:無謀なパブリッシャー相手に、品質を確保した開発を行うのもデベロッパー側の技量の1つではあるんだけどね。そう言う観点で言うと、今D0の発売間隔が開いているのも、プロレヴォで大型エキスパンションだったG'sマガジンブロック以降のエキスパンションの発売予定が出てないもの、遊宝洞が開発をコントロールしている影響なのかも知れないね。