テキストの整備とテンプレート化
「式神刹那式」の効果の解釈についても、「あなたの手札全てをパワーカードとして持ち」という文言の解釈が問題になっている。
根本的な問題は、「手札や支払ったコストなどがパワーカードになる」と言う効果に対して、SagaI,SagaII時代から複数の表現がなされていた事にある。
「タイムツイスター“千頭さとり”」などでは「パワーカードとしてセットする」と表現されていたのに対し、「式神弐式」や「フレイムエンジェル“リン・グラフィアス”」などでは「パワーカードとして持つ」と言う表現になっていた。
「同じ効果に対して複数の表現があるから、それを統一して欲しい」と言う趣旨の意見を去年12月の意見交換会で出してあり、「SagaIIの頃に比べれば改善はされているが、まだ完全ではない為、より一層の統一を目指して今後の開発を進める」と言う回答を得ていた。
正直に言うと、5/30の日記(http://d.hatena.ne.jp/Nakaji_c/20060530)を書いた時に、「式神弐式」など過去の式神〜というカードでは同様に「パワーカードとして持つ」と言う言い回しをしていた事を確認して居なかった。前述の意見交換会でテキストの統一を進めると言う話になっていたので、
他のカードと違う表現→他のカードと違う効果と解釈される
と言う論理展開で話を進めてしまった。確かに、式神シリーズ内だけで見ればテキストが統一されており、それに従って読めば一意に解釈できる。
何故、テキストの整備・統一が必要なのか?
MTGでも、第3版の頃はテキストが整備されてなかった。
場から墓地へカードが移動する効果に対して、「destroy」「bury」「discard」「kill」が無分別に使われていた。また、受動態と能動態も混在していたし、助動詞も使用や、対象の条件の指定方法などはカードによってまちまちであった。
こんなテキストのカードがあり、カードの解釈に困ったことがある。当時はまだ日本語版は出ておらず、各自で和訳して遊んでいたのだ。
Destroy any card in play.
使用コストが6マナのこのカード、場に出ている全てのカードを破戒するカードだと自分は考えていた。
が、4thになってテキストが整備され、パーマネントと言う概念が生み出され、このように変わった。
Destroy target permanent.
「destroy」は場から墓地への移動で「再生」と言う能力が使用可能、「bury」も場から墓地への移動だが「再生」不可能と定義された。「discard」は場から墓地への移動には使われなくなり、手札から墓地への移動に使われるカードと定義された。また、目標が単体の場合は必ず「Target」という単語で修飾するようになった。
これによって、カードの効果の解釈が明確になり、ルールの曖昧な点が薄れた。
他のカードの整備具合を列挙してみる。
・Armageddon
【3版】All lands in play are destroyed.
↓
【4版】Destroy all lands.
・Disenchant
【3版】Target enchantment or artifact is destroyed.
↓
【4版】Destroy target enchantment or artifact.
・Wrath of God
【3版】All creatures in play are buired.
↓
【4版】Bury all creatures.
・Terror
【3版】Buries target creature. Cannot target black creature or artifact creatures.
↓
【4版】Bury target non-black, non-artifact creature.
・Shatter
【3版】Shatter destroys Target artifact.
↓
【4版】Destroy target artifact.
・Stone Rain
【3版】Destroys any one land.
↓
【4版】Destroy target land.
・Tunnel
【3版】Buries one Wall.
↓
【4版】Bury target Wall.
・Tranquility
【3版】All enchantments in play must be discarded.
↓
【4版】Destroy all enchantments.
・Nevinyrral's Disk
【3版】(1):Destroys all creatures, enchantments,and artifacts in play, including Disk itself.
Disk begins tapped but can be undapped as usual.
↓
【4版】Nevinyrral's Disk comes into play tapped.
(1),(T):Destroy all artifacts, creatures, and enchantments.<<
※3版・4版のテキストはWisdom Guild(http://www.wisdom-guild.net/)さんを利用させていただきました。
見て分かるように、場にあるカードを墓地に送る効果に対しては。
動詞+target or all+(対象や範囲を限定する修飾)+効果を及ぼされるカードの種類
と言う風にテキストが統一されている。
こういう整備をMTGの世界ではテンプレート化と言っていた。テンプレートの整備は今でも続けていて、今では「bury」という言葉が廃され「destroy」に統一されている。再生できない旨は別途に記述することでカードの解釈がより簡易に成っている。
テンプレート化されてしまえば、多少、日本語的に意味がとりにくくても、テンプレートに従ってカードの効果を解釈できる。