スタンダード落ち/エキスパンション・コンバート

公式な大会で使うレギュレーションを定め、古いエキスパンションは順次使用不可能にして行く。そう言う制度の話が、私がメインにプレイしてるD0とアクエリで相次いで話題になっているので、自分の考えを述べてみようと思う。
アクエリでは、エキスパンション・コンバートが今月に実施される。先日開かれた意見交換会で聞いた話では、今後も順次コンバートを行うためのルール作りを目指している。
D0では、具体的な話は挙がっていないが、2chのD0スレ(http://game9.2ch.net/test/read.cgi/tcg/1144388841/)でスタンダード落ちの是非が論じられている。

その必要性を改めて論じようと思ったら、言いたかった事の内の半分が「ディメンションゼロ攻略ブログ」さんで既に論じられていた(http://dimension-zero.air-nifty.com/blog/2006/04/post_e81d.html)。

必要な理由の残りの半分は、先日のアクエリの意見交換会で住友氏が述べた事と重複するのだけど、使用可能なカードの量が増えすぎると「把握できない」「買えない」という理由から新規参入者の増加が望めないと言う事だ。

MTGは1足先にスタンダード落ちのシステムを完成させ定着させている。基本セットと呼ばれるデッキの基礎となりえるカードを収録したセットを2年に1回出している。また、エキスパンションは1年間に3つ。同じ年度に発売されるエキスパンション3つを1つのブロックとしている。スタンダードは最新の最新の基本セット1つとブロック2つで構成されていて、新しいブロックに突入すると、古いブロックが「スタンダード落ち」する。
MTGでは1995年に「最新の基本セットと、新しい方から2つのエキスパンション」をTYPE2と定めた後、紆余曲折した末に1997年に今のスタンダードに落ち着いた。

ところで、国産TCGのプレーヤーの中には、スタンダード落ちに拒否反応が強い人が目立つ。
スタンダード落ちとは違う完全なリセットであるが、モンスターコレクションの2移行は、やり方が稚拙な事もあって、かなりの数のユーザを脱落させてしまった。アクエリのSagaII移行も同じだ。
8年以上も続くGWでは、この手のルールは無い。発売されているカードが全て使える(キャラクター物のTCGとしては唯一の選択肢なのだが、スタンダード落ちが無いことはGWの魅力の1つである)。
MTGに手を出して辞め国産TCGに流れてきたプレーヤーは、MTGで行われているスタンダード落ちを嫌っている人の割合が高い。
MTGは、どの時期でも始めるに際しては敷居が低い。基本セットと、その年に出ているブロックのエキスパンション3つを買えばよい。古いブロックはすぐスタンダード落ちするから余り買わなくて良いとアドバイスされるのが普通である。始めた後、最初に経験するスタンダード落ちは、自分の持っていないカード・良く知らないカードが落ちるので歓迎するが、翌年のスタンダード落ちでは、自分が始めた頃に買ったカードがスタンダード落ちするので嫌気がさす。そこでMTGを辞めるか、もう1〜2年頑張ったもののスタンダード落ちに耐え切れず辞めるかした人は、国産TCGに移行する。

10年以上続いてるMTGを軽々しく「失敗」とか「飽きられる」とか「凋落した」とか書くのは抵抗があるが、スタンダード落ちに付いていけずに辞める人が多いのも事実である。そして、MTGを辞めた人の多くが、スタンダード落ちの無い国産TCGに手を出しているのも事実である。だから、モンコレ2やアクエリSagaIIへの移行で多くのユーザが辞めたのだ。スタンダード落ちせず、ずっと使えると考えて買っていたのに裏切られたからだ。

MTGのスタンダード落ちは、毎年発生している。また、1つエキスパンションがスタンダードで使える期間は1年4ヶ月〜2年の間である。
妥協案として、自分がアクエリで提案してるのが「スタンダード落ちを行うのは2年に1回、また、1つのエキスパンションがスタンダードで使えるのは3年以上」と言う内容である。D0でスタンダードの制度が導入されるなら、同じ事を提案すると思う。

要は、MTGより緩やかなスタンダード落ちならば、受け入れられる余地があるのではないか?と言うことだ。

1つのTCGを長く持たせるにスタンダード落ちが仕方ないのなら、1つのエキスパンションが発売か使えなくなるまでの期間はMTGより長くして欲しい、ってのは多くのユーザが感じる意見だと思う。

D0は発売されて間もないTCGであり、スタンダード落ちを論じるには早すぎるかも知れない。だが、スタンダード落ちに言及無く販売を続け、その後でスタンダード落ちを実施すると発表したら、スタンダード落ちは無いと思って買っていた人達が受けるショックは大きく、モンコレやアクエリのように、そのタイミングで辞めるユーザが大量に発生する可能性は高い。
しかし、スタンダード落ちがある事を早い段階で発表しておけば、確かに敷居は高くなるかもしれないが、スタンダード落ちを実施したタイミングで辞めるユーザは少なくなる。
どっちが最終的に多くのユーザを獲得するかは判断が難しいが、前者はある意味でユーザを騙している事となり、心象を悪くしてるように思う。