フロアルール発表なの

規定されている事項は、競技的なTCGに準拠する内容になっています。
ただし、店舗レベルの大会は、ルールを厳格に適用せず、楽しく遊べるよう配慮がされています。
逆な言い方をすると、カジュアルなTCGで全国大会を行うとフロアルールやジャッジングの不備から不愉快な思いをする事が割と発生するのですが、競技的なTCGに準拠した事で、そう言う事象の発生確率が減るとも言えます。
競技的なTCGの経験が無い人・カジュアルなTCGに慣れた人は、特に下記の点に注意が必要でしょう。
・故意でなくてもスロープレイが禁止されている。
・マークドに付いてはパターンの有無で罰則が変わる。

また、相手のフロアルール違反を逆手に取り、相手にペナルティを与える事で勝利を得ようとする行為はできません。逆に、そう言う主張をしたプレーヤーにペナルティが与えられます。
競技的なTCGでいわゆるソリティアデッキ・ワンショットキルが流行した時、相手にペナルティを与えて勝つ事が許される風潮があったのですが、現状、競技的なTCGであろうと無かろうと、その様な行為は認められていないと言う事です。

なお、以下の文章、フロアルールに記載されている内容以上の踏み込んだ記述については「同様な規定があるTCGでの裁定例」を参考にしています。WSでこの通りになる事は保証されていません。

TCGによって裁定が異なる事象が、WSではどうなっているか?

スイスドローの大会中に時間切れとなった際の処理

時間切れとなった時に進行中のターンを最後まで行います。
追加ターンが無いのは懸念材料ですね。相手に次のターンを渡したら確実に負ける、という状況で遅延する効用が発生しますから。
俺には追加ターンの無いTCGの経験があります。そのTCGは、大きな大会後とか、遅延行為でグダグダになりやすいです。遺恨が残ると言いましょうか。特に、日本王者に対して、遅延行為との関連性を指摘される事が多いですが、これはルールの不備に原因があると考えます。

■遅延行為に対する対応

いわゆる「遅いプレイ」が罰則の対象になっています。

以下は、罰則規定の部分から引用。

第9章 その他
 第5項 故意でなくスロープレイを行った
(中略)
全てのプレーヤーには適切な速度で試合を行う義務があります。
(後略)

つまり、「状況が込み入っている・重要な局面なので、長考します」とか断って長考するのは、「これからフロアルール違反をします」と言っているのと同義になります。
ただ、上記引用の後に続く表現が、競技的なTCGよりは緩やかになっているように思えます。
アクエリやLyceeのようなカジュアル目なTCGの経験者で、MTGやD0のような競技性の高いTCGの経験が無い人は、遅延行為に関するジャッジングが全く異なる事に注意が必要です。

■オポーネント計算

『マッチ勝率の平均』を計算する、割と面倒な方式が採用されています。
また、ミニマムパーセンテージも0.33。

上記の内容、プレーヤー的には特に気にする事はありません。プレーヤーに負担は全くかからないですから。むしろ、店員やジャッジが苦労して、公平な結果を出してくれると思っていれば良いでしょう。
『マッチ勝率の平均』が計算されない、アクエリの経験者に対しては、あの不平感・不透明感が無い、と言えるでしょう。*1

■同意による引き分け(インテンショナル・ドロー)

当然、認められています。

■賞品・賞金の分割(スプリット)

賞品・賞金の分割を含めた利益供与で勝敗の結果を操作する事は禁じられていますが、勝敗の結果と関係ないところで、賞品・賞金を分割する約束を行う事については、明確に禁じる規定はありません。
上位賞に対する、いわゆる『割り』行為は、勝敗の結果を操作しない場合に限り、認められてるように見受けられます。
ただ、『割り』が禁止されているLyceeにおいても、賞品の分割に関する規定は似たような記述になっております。LyceeはQ&Aで補足する事で『割り』が禁止になっているので、WSでも同様の処置が取られる可能性も否定できません。

■ダブルスリーブの使用

現状では許容されています。
わざわざ、最後のQ&Aで認められている事を明確にしていますね。
コレクター志向の強いユーザにとって、ダブルスリーブが認められるのは朗報ですね。
カジュアルなTCGは、フロアルール等を緩く設定せざるを得ず、その結果、ダブルスリーブによるイカサマ(マーキング)を取り締まり切れず、ダブルスリーブを禁止せざるを得ない傾向があります。
このジレンマに対するWSの回答が、競技的なTCG並のフロアルールでマーキングだけ取り締まるから、ダブルスリーブの使用を認める、って事になると思います。

■シャッフル前の並べ替え

充分なシャッフルを行う事を前提に、シャッフル前に並び替える事を認めています。
フロアルールを読む限り、3本制(2本先取)でサイドボード有りの試合形式を視野に入れているようですので、冤罪を防ぐ意味で、上記の処置が必要なのでしょう。
だたし、これが即積み込みOKって意味にはなりません。
充分な不作為化とみなされる手順を踏んでいたとしても、不審に思ったらジャッジに申告する事ができます。ジャッジとしては、どのような手順を踏んだかも見ますが、実際にデッキの中身を見て、充分に不作為化されているかも確認します。


また、クライマックスとそれ以外を分けてディールシャッフルする事はQ&Aにある通り、充分な不作為化を行えば認められるのですが、毎回コレを実行するのは困難だと推測されます。
充分な不作為化には、ディールシャッフル+ヒンズーシャッフルの組み合わせ「数回」って書いてありますから、恐らく最低3回のディールシャッフルが必要です。
そして、1セットの対戦前に与えられる準備時間は3分です。
つまり、クライマックスとそれ以外を分けたシャッフルを行うには、3分間でクライマックスカードを抜き出し、ディールシャッフルを4回行う必要があります。
事実上困難と言う奴です。

リフレッシュの際は、もっと困難でしょう。
現状、対戦中のシャッフルに時間制限は明記されていませんが、スロープレイの禁止に引っかかります。
TCGの基準から考えると、リフレッシュの手順にかけられる時間は1分程度になると推測されます。

ユニークな点

■ハンドルの使用が認められている。

これが明記されているのは初めて見た。
ただし、公序良俗に反するものは認められません。ネット対戦を行うアーケードゲームの注意書きでよく見かけるこの規定を、フロアルール違反とする為に項目が設けられているように思われます。

■3段階のレベル分け

大会を、目的によってレベル分けして、ルール適用の厳密さに差を付けている。
LV1:店舗やジャッジ主催の公認大会レベル。勝敗に拘るより、交流に主眼を置く。非常にカジュアル。ルール等に詳しくなくても問題無い。ただし、故意の不正行為には厳罰が与えられる。
LV2:店舗等で開く予選レベル。フロアルール等に目を通しておく事が求められる。過失によるルール違反には、そこまで厳しくならない。無論、故意の不正行為には厳罰が与えられる。
LV3:ブシロード主催で開く全国大会レベル。競技的なTCG並の厳密さ。フロアルール等に熟知している事が前提。過失によるルール違反も厳しく取り締まれる。

■読みやすく、解りやすいフロアルールになっている。

他のTCG、特に競技的なTCGと比べて文言が平易。
また、『付記2』にFAQを記載しており、よく問題になる事象について、個別の説明がある。

*1:アクエリは、全国大会をスイスドローのみで行っているが、最終ラウンドに全勝卓で負けたプレーヤーの順位が何故か低い。2位どころか入賞すらしない事が多い。