ゲームシステム&ルール発表会

ファーストインプレッションを述べれば「緻密な計算に基いた、芸術的なシステム」と言えるのではないか? とりあえずプレイして見たいと思わせるシステムである。


アキバOSさんが、発表会で使ったパワーポインタや帰り際に渡してくれる資料をアップしてくれるので、ユーザ記者は説明を手打ちする手間が省けて楽だ。
http://www.akibaos.com/?p=2881
後は、資料に記載の無い、口頭での説明事項を補足すれば見聞した事を伝えれるので任務完了となる。
が、これだけではユーザ記者の意味が無くなる。
やはり、TCGプレーヤーらしい考察を加えないとダメだろう。

ジャッジ関係

発表会では、まず、ユーザをジャッジとして公認する制度について説明があった。
ユーザがジャッジになるには、2つの方法がある。
(1)店舗の推薦を受けてレベル1ジャッジになる。
 必要条件:店舗の推薦, 郵送によるペーパーテスト

(2)独力でジャッジ試験を受けてレベル2ジャッジになる。
 必要条件:試験会場での筆記試験・面接

資料だけでは不明な点を補足すると、レベル2ジャッジになる為には、レベル1ジャッジである必要は無い。いきなりレベル2ジャッジの試験が受けられる。
レベル1ジャッジは、ユーザと言うよりは、店舗の店員向けのジャッジ資格であるらしい。原則として、推薦を受けた店舗でのみ大会を開催できるらしい。店舗の店員だと日曜日に東京へ試験を受けに行けない点を考慮して、郵送によるペーパーテストを採用したそうだ。

アクエリやD0のユーザジャッジと同じ活動がしたいなら、レベル2ジャッジになれば良い。受験資格は特に無いので、試験を受ければ誰でもなれる。

色関係

4色だそうです。
エキスパンションはタイトル別です。それぞれのタイトルに4色あるそうです。
色の特徴も含めて、口頭で説明がありました。
黄:AP重視・手札破壊・バウンス
赤:確定除去・控え室リソース利用
緑:ファッティ*1
青:ドロー・ダメージ回復

★★★2008/02/03 追記★★★
先行体験会で確認してきました。
緑の特徴は、ファッティと共に、クロックやストックのブーストだそうです。
また、ドローはやはり青の特徴だそうです。体験会で使用しているデッキには、緑でドローの効果を持ったカードが含まれていますが、手違いのようです。
まぁ、プロジェクトレヴォリューションでも、緑には《5です》みたいな効果の弱いドローカードがあるし、体験会のデッキに入っているドロー系のカードは軒並み弱いので、弱いドロー効果と言うのは緑の隠れた特徴なのかも知れないのですが。

エキスパンション落ち

エキスパンション落ちはしないそうです。
原作物TCGとしては当然の選択ですね(長続きしている原作物TCGには、ガンダムウォーLyceeがあります。共にエキスパンション落ちは行っておりません。落ちてしまったキャラや作品を目当てにしてた人が辞めてしまうから、エキスパンション落ちを行えないのです)。
裏を返せば、プレーヤーに新エキスパンションを買わせる為に、カードパワーをインフレさせて行くと言う事です(ガンダムウォーLycee共にそう言う状況です)。
このような言明は有りませんでしたが、上記の理屈を中村聡氏が認識してる事は、D0のカンファレンス時の発言から読み取れます。

ちなみに、木谷社長から「10年経ったら考えます。」と言う発言もありました事を書き添えておきます。
WSを10年続けるつもりなのでしょうね。ノウハウが乏しい状態からアクエリアンエイジを8年続けた実績から考えると、木谷社長なら可能でしょう。

マリガン

初期手札5枚から好きな枚数を捨てて、捨てた枚数だけドローするルールになっています。
『マジックマスター2 紋章使い』の「魔力転換」と言うアクションを彷彿とさせますね。*2
説明をした中村聡氏も「控え室リソースを利用するデッキが使いやすいルール」とも言ってました。
「マリガンしたら逆に手札が悪くなった」なんて事が無さそうで、良いシステムだと思います。
とりあえず、序盤に必要な0L0Cのカード以外は、クライマックスカードすらも魔力転換に回すのが一般的なプレイングになりそう。

1ターン目を迎える前にデッキにアクセスできる枚数が最大10枚で、その中で0L0Cのカードを3枚引きたいってのが、デッキを組む時に考える確率計算になるね。期待値では15枚入れれば良いって話になるけど。

クロック・フェーズ

「クロックにカードを置いたら2枚ドロー」と言うルールは、MTGのターボランド*3に近いプレイ感がある。
D0とかプロレヴォとかCiCとか、1ターン1ドローで何をエネルギーに置いても良いゲームだと、ドローする手段がないと窮屈なプレイ感に陥る。だから、クロックを置くと逆に手札が増えるのは割と快適なプレイ感を提供してくれると思われる。
ターボランドも、《Horn of Greed / どん欲の角笛》が置けた後は非常に楽しい。*4
やっぱ、TCGプレーヤーはカードをドローする事が好きだろうし。

あと、序盤に泣く泣くクロック送りにしたカードも、レベルアップした段階で控え室に送られ、山札が尽きたら山札に戻る。クロック送りにするカードに悩む必要が少なく、その点もストレスが無くプレイできるであろう。

なお、「クロックゾーン効果」的なカードもあるようです。

プレイ時間

ルール説明だけ読むと長そうだけど、デモプレイを見た感じだと割とサクサクとゲームが進んでいた。
1回のプレイ時間は短いようだ。

全体的なプレイ印象

表面的にはブーストチェックやダメージチェックのクライマックスカードの引きで決まる運ゲーに見える。

しかし、俺が見た実態は異なる。まず、クライマックスカードを巧く山札に送り込むプレイングが重要になるだろう。

また、適切なAP数でアタックする計算能力も必要になるだろう。
デッキ枚数と入っているクライマックスカードの枚数からダメージの期待値を算出する表計算を組み、デッキとクライマックスカードの枚数を色々と変えてみたのだが、最も期待値の高いAP数がコロコロ変わる。AP=5が一番期待値高い事もあれば、AP=3が一番期待値高い事もある。NAC恐るべし。
あと、変なコンボで高いAPのキャラが並んだりした場合も、ダメージチェックによるキャンセル率が高いので、一方的なゲームになり難いだろう。

勝利条件を満たす為に相手へ与えるダメージ数が28点と言うのは、割と多いように感じていた。だが、判定回数を増やす事で期待値通りの結界に近づき易くなる。運ゲー度を薄め、勝つべく努力した人が当然に勝てるようにするには、28点ぐらいは必要なのだろう。

キャラゲーとしての完成度

やはり、キャラクターをゲームトークンとして使い捨てする感が拭い去れない。
後列は実質的に「俺の嫁置き場」なので、ここに置かれたカードはまず除去されないが、置けるのは2枚である。
コストを貯める為に、序盤は0L0Cのカードを前列に置いて殴る事が推奨されるが、前列のカードはすぐ死ぬ。ターンプレーヤーは前列/後列を好きなように並べ替えられるので、バトルで有利になるように配置可能。だから簡単にバトルで負ける。
【大活躍】も、取って付けた感が否めない。こう言うシステムがあるなら、去年12月の発表会で出しているはずだから、その後のユーザ側の反応を見て付け足したのは否定できないだろう。何も対応しないよりは、全然良いのは間違いないが。
とは言え、実質1ターン3ドローのシステムであり、控え室のカードは山札に戻る。他のタイトルと比べ、お気に入りのキャラクターを何度もプレイできる可能は高い。

おまけ:ダメージチェックでクライマックスカードが現れる確率

50枚デッキにクライマックスカード8枚で単純計算した場合。
ダメージ1点: 16%
ダメージ2点:約30%
ダメージ3点:約41%
ダメージ4点:約51%
ダメージ5点:約60%
ダメージ6点:約67%

確率の算出方法は以下。(※ダメージ3点を例に説明)
クライマックスカード出現確率=(1-クライマックスカード非出現確率)
クライマックスカード非出現確率= 8/50 × 8/49 × 8/48

おまけ2:ダメージの期待値

一度に6点のダメージを与えた場合と、2点のダメージを3回与えた場合では、ダメージチェックでクライマックスカードが出る関係から、同じ6点でもクロックに置かれる枚数の期待値が異なる。
一度に6点:6×約0.33≒1.98
2点を3回:(2×約0.70)×3≒4.22

*1:他にも特徴があったかも知れないけど、メモっていて聞き逃した

*2:実は、これが1番書きたかった。モンコレの手札調整ってネタを書く奴は多数居るだろうけど、こっちのネタを書くのは多分俺だけだろうから。

*3:中村聡氏が好んで使った事でも有名なデッキタイプ。詳細は以下を参照。
http://mtgwiki.com/%A5%BF%A1%BC%A5%DC%A5%E9%A5%F3%A5%C9

*4:自称『アクエリ界のZvi Mowshowitz』を目指していた位だったので、Zviのデッキは割とコピーして使い込んでいた。