ルールの話:対象と目標について

以下はルールブック15ページより引用。

[!]カードの読み方
カードのテキストの中には、特殊な意味を持つ文字、記号、略語があります。
(中略)
■《 》(対象)
《 》で囲まれたテキストは、そのカードがどれを対象に効果を発揮するかをあらわしています。
(以下略)

これにより、以下の2点が規定されている。
(1)カードが効果を発揮するプレーヤー、キャラクター、カードなどは『対象』。
(2)対象になるのもはカードテキスト上《 》で囲われている。

続いて、ルールブック28ページより引用。

[!]属性アイコン
プロジェクトカードとファストカードには、そのカードの効果範囲と持続時間がアイコンで書かれています。
(中略)
■効果範囲
目標:カードの効果を与える対象をひとつ指定するカードです。
(以下略)

プロジェクトカードとファストカードの効果アイコンを説明する記述では有りますが、ここで以下が規定されています。
(3)『目標』とは(1)で規定された『対象』を1つ指定するものである。
別の言い方をするなら「目標は対象の部分集合」と表現できる。

目標については、さらにこんな記述が有ります。同じく、ルールブック28ページより引用。

[!]目標を指定するカードの注意点
カードテキストの中には、目標を指定するものと指定しないものがあります。
そのテキストが目標を指定するかどうかは、テキストに「目標の〜」という表現が入っているかどうかで見分けることができます。
また、目標にできる対象(←P15)が決まっている場合、条件を満たさない目標を選んでも効果がありません。
(以下略)

ルールブック巻末の用語集(P74)には、目標について次の記載があります。

■目標
単体に影響する効課を与える対象。プレイヤー、キャラクター、カードなどが「目標」になる。

これより、以下の2つが規定さている。
(4)目標を指定しているカードは、カードテキストに「目標の〜」と言う文言が含まれる。
(5)プレイヤー、キャラクター、カードなどが「目標」に取れるが、対象で指定された条件を満たさないものは目標に選んでも効果がない。

上記の内(4)の規定は、効果アイコンを持つプロジェクトカードやファストカードには直接は関係ないが、エフェクトやアビリティのテキストから、目標を指定するか否かを判断するのに使われる。
また、(5)は難解かもしれない。解りやすく説明すれば、《デス》なのどキャラクターを対象するカードの目標にプレーヤーやパワーカード・パーマネントカードを選ぶ事も可能だが、効果を発揮しないと言う事だ。ただし、不適正なカードの使用宣言は宣言自体が出来ないが。

サマリ

ルールブックから抜き出した対象と目標に関係する規定を、もう1度、整理してみる。
(1)カードが効果を発揮するプレーヤー、キャラクター、カードなどは『対象』。
(2)対象になるのもはカードテキスト上《 》で囲われている。
(3)『目標』とは(1)で規定された『対象』を1つ指定するものである。
(4)目標を指定しているカードは、カードテキストに「目標の〜」と言う文言が含まれる。
(5)プレイヤー、キャラクター、カードなどが「目標」に取れるが、対象で指定された条件を満たさないものは目標に選んでも効果がない。

機械竜“ハイドランジア”

さて、上記の規定から、幾つかの問題あるカードのテキストを検証してみよう。
まずは《機械竜“ハイドランジア”》のエフェクトだ。

1:≪このキャラクター≫は、目標の、アタック宣言しているあなたの支配キャラクター1人と同じアタック目標に対してアタック宣言する。その後、目標のアタック宣言を取り消す。目標がガード宣言されていた場合、目標に対してガード宣言しているキャラクターのガード宣言の対象を、このキャラクターに変更する。

このエフェクトの対象は(1)より≪このキャラクター≫のみ。
そして、「目標の」と言う文言があるので(4)目標を指定するエフェクトである。
夕映に、(3)の規定から、ハイドランジアのエフェクトは、目標に指定できるのが≪このキャラクター≫と決定する。
しかし、上記の解釈は、エフェクトのテキストを日本語として素直に解釈した場合と合致しない。これより、「アタック宣言しているあなたの支配キャラクター1人」と言う文言を≪≫で囲い忘れている事が推測できる。

空間歪曲

つづいてこのカード。
《空間歪曲》は誤用やルールの誤解が多いカードである。

目標の≪キャラクター1人を目標とするプロジェクトカードまたはファストカード1枚またはエフェクト1つ≫の目標を、あなたの任意のキャラクター1人に変更する。

《空間歪曲》の対象に取れるのは「キャラクター1人を目標とする」ものだから、(3)より「目標」という文言が含まれている事が必要条件となる。
●case1:《契約》
よくX=1でプレイされた《契約》を《空間歪曲》している人が居るが、《空間歪曲》は《契約》を目標に使えない。なぜなら、《契約》はX=1でプレイされた場合でも任意の数の対象を選んでいるだけで、目標は指定していない。
ちなみに、《契約》のテキストは以下である。

メインフェイズ終了時まで、≪あなたの任意のあなたの支配キャラクターX体≫にバインド1を与える。

●case2:《光の剣》
OHPに掲載された長野のSaga3コロシアムのレポートで、《光の剣》のエフェクトを《空間歪曲》したという記述が有るが、これはとんでもないルールの間違いである。
以下は《光の剣》のテキストである。

1:メインフェイズ終了時まで、≪このキャラクター≫はイニシアチブを得る。
1:メインフェイズ終了時まで、≪このキャラクター≫はペネトレイトを得る。
1:パワーカードフェイズ終了時まで、≪このキャラクター≫はチャージ3を得る。
1:メインフェイズ終了時まで、≪このキャラクター≫の攻撃力に+3する。

(4)の規定より、どのエフェクトも目標を指定して無い。

パワーカードを操作する系統のカード

●case1:《ミッドナイト・ランデブー》
まず、何故《ミッドナイト・ランデブー》にエラッタが出たのか説明する。
エラッタ前のテキストは以下である。

目標の≪キャラクター1人≫にセットされているパワーカードを2枚まで捨て札する。

(2)より対象がキャラクター1人になっていた。
これは、過去のエキスパンションに存在した類似カードである《マグネティックフィールド》や《鳴弦の儀》がパワーカードを対象とした解釈でQ&Aが出ていたのと矛盾していた。
よって、以下のエラッタが出た。

≪あなたの任意の、キャラクター1人にセットされているパワーカード2枚まで≫を捨て札する。

このエラッタにより、めでたく《ミッドナイト・ランデブー》はパワーカードを対象とするテキストとなり、過去のQ&Aとの整合性が取れた。

●case2:『悪魔の契約』の《マグネティックフィールド》等
ところが、『悪魔の契約』に再録された《マグネティックフィールド》のテキストは以下となっている。

目標の≪極星帝国またはE.G.O.のキャラクター1人≫にセットされているパワーカードから、あなたの任意のカードを2枚まで捨て札する。

《ミッドナイト・ランデブー》のエラッタの後に、こういうテキストを出して来たのだから、意図する事は1つ。
《マグネティックフィールド》等のカードは再録時に機能変更され、キャラクターを対象とするようになった。
この変更により、《マグネティックフィールド》等は、プロテクトや「キャラクターがプロジェクトカードの効果を受けない」のアビリティなどで防げるようになった。

●case3:『女教皇の瞳』の《サンクチュアリ
同様の機能変更が、『女教皇の瞳』に再録された《サンクチュアリ》にも行われている。

メインフェイズ終了時まで、≪アタック宣言またはガード宣言したキャラクター≫にセットされているパワーカード全てを捨て札する。

やはり、キャラクターを対象と取るように機能変更されている。
これにより、《サンフラワー》や《ウリエル》などで《サンクチュアリ》の効果を防げるようになった。

1つ言いたいのは、意図的にテキスト変更してカードの機能を変更したのだから、それに合わせてQ&Aを整理して欲しいと言う事。