D0発売前のカンファレンスで、木谷会長が以下の趣旨の発言をしていた。当時のレポから引用する。
http://d.hatena.ne.jp/Nakaji_c/20050924

WotCの企図したDM→MtGが成功しなかった理由について。
 DMに比べてMtGはシステムが古い(から、新しいシステムに慣れた人には馴染みにくい)。
車の年式に例えて説明していた。DMと比べてMtGは年式が古いくグレードダウンになるから乗り換えは起こりにくい、DMと比べてD0は年式が新しいくグレードアップになるから乗り換えは行いやすい。

裏を返せば、DMとMtGのシステムを比較すれば、システムのグレードアップが何か解る。
ズバリ、以下である。
  (1)「デッキが機能しない」事故の発生を回避する。
  (2)勝利条件を満たす為の行為が、相手にアドバンテージを与える。


まず(1)に関して説明する。
・ナビゲーター/土地/ジェネレーションと言ったコストを発生させるためのカード*1
・発生させたコストで使うカード
この2つが分かれていたので、土地が来ない/土地しか来ないって状況が一定確率で発生していた。これが「デッキが機能しない」事故である。
DMでは「発生させたコストで使うカード」を逆さ向きで出す事で「コストを発生させるためのカード」として使える。
これ、DMからTCGに入った人から見れば当たり前かもしれないが、MTGとかからTCGに入った人からすれば凄い斬新なシステムだった。
(1)には、ゲームに成らない対戦を減らす効用がある。


次に(2)に関して説明する。
MTGの勝利条件は、20点有る相手のライフを減らす事。ライフはリソースであり、何らかの追加コストや生贄としてライフを使うことがあるが、相手からダメージを受けたりルーズライフしたりして減らされたライフは、純粋にリソースを失う事にしかならない。
コレに対してDMは、ゲーム開始時に5枚のカードを取り分ける。これをシールドと呼ぶが、勝利条件を満たすには相手のシールド全てをブレイクする事が必要と成る。ブレイクされたシールドは手札になる。シールドをブレイクされると敗北に近づくが、ハンドアドバンテージを得ているので挽回できる可能性も出てくる。
(2)には、一方的な対戦を減らす効用がある。


D0は後発なんだから当然(1)も(2)も満たしている。(1)に関してはDMの方法をそのまま引き継いでるし、(2)に関してはスマッシュの概念*2がそうだ。
#別にD0の誉めたくて言っているのじゃなくて、単に後出しじゃんけんが有利だと言うだけ話。



アクエリの場合はどうか?
(1)に関しては、SagaII辺りからカードデザインでフォローしようとしていた。つまり、SagaI時代はチャージを持ったキャラクターは希少であったが、SagaII時代はキャラクターはチャージ1を持つのがデファクトスタンダードとなっている。
(2)に関しては、効用は低いが配慮されていた。ダメージ判定で出たキャラクターカードは勢力エリアに置かれるルールがそうだ。若干のカードアドバンテージを得ている。

ルールを大きく覆す訳に行かないから、カードデザインでフォローするのが上策だろう。
実現するためのカードデザインなら幾らでも方法論はある。
(1)を満たすなら、以下のデザインで実現できる。(一部、既に存在するものもある)
・ブレイクカード/ファストカード/プロジェクトカード/パーマネントカードとしても使用可能なキャラクターカード。
・キャラクターカードとしても使用可能なブレイクカード/ファストカード/プロジェクトカード/パーマネントカード。

(2)を満たすなら、以下のデザインで実現できる。(一部、既に存在するものもある)
・ダメージ判定で出てきたら、何らかの効果を発生させるカード。
・ダメージ判定で出てきたら、ダメージ置き場ではなく手札に入るブレイクカード/ファストカード/プロジェクトカード/パーマネントカード。


GAME JAPANに記載された『太陽の恵み』収録カードの「チャージ2」をもったキャラクターも、(1)を満たすためのデザインであり、肯定的に評価できると考える。

もっとも、SagaI時代のドローキャラのように各勢力1枚ずつしか用意されていなかったら、デッキ構築の幅を狭めるデメリットが大きいのだが。



AAAは300セット出荷。発注が殺到して打ち切った。47都道府県で設置されない県は無い。『太陽の恵み』だけでなく『月光の秘儀』にもAAAのプロモが付く。

*1:GWの場合、コストではなく国力:アクエリで言う所のファクターを発生させる。

*2:受けたダメージがコストに転換されている