「ミッドナイト・ランデブー」カードテキスト談義

Wel'Kroizの進藤文月さんが7/19に書いた日記(http://www.kitanet.ne.jp/~kazuo-i/diary2/diary2.cgi)が、自分が7/7に書いた日記に(id:Nakaji_c:20050707)に対する批判を含む内容だったので、自分の考えを示しておく。

結論から言おう。
属性アイコンの効果範囲が「目標」のプロジェクト・ファストにおいては、『目標』=『対象』である。効果範囲が「範囲」のプロジェクト・ファストは『目標』を持たず、ただ『対象』が存在するだけで、カードテキスト内では『対象』となる範囲が指定されている。ともに『対象』に対して「効果を発揮」している。

進藤文月さんの議論は、カードテキストに『目標』と言う文言を含む効果範囲が「目標」のカードと、カードテキストに『目標』と言う文言を含まない効果範囲が「範囲」のカードを混ぜて議論しているから、『対象』≠『目標』と言う結論に達しているが、効果範囲によって分けて議論するべき内容ではないかと思う。

7/7の日記では、Saga3のルールブックだけを引用して『目標』=『対象』の説明をしたが、今日は、より分かりやすいように、SagaIIのルールブックとの比較から説明をしようと思う。
まず、Saga3のルールブック(Ver1.0)のP28にある、属性アイコンの説明の中から、効果範囲「目標」と「範囲」に対する説明を引用する。

目標:カードの効果をあたえる対象をひとつ指定するカードです。
範囲:特定の条件にあてはまる対象全てに効果を与えるカードです。

次に、SagaIIのルールブック(Ver1.0)のP27にある、属性アイコンの説明の中から、効果範囲「目標」と「範囲」に対する説明を引用する。

目標:1つの目標を指定し、その目標だけに効果を発揮するカードです。
範囲:目標と特定せず、全体に効果を発揮するカードです。

「効果の『対象』は≪≫でくくる」と言う概念がSaga3になって導入されたので、効果範囲の説明もSaga3になると同時に『対象』と言う言葉を用いて定義され直した事が見てれる。そして、効果範囲:目標の説明は「1つの目標を指定し」と言う表現が「対象をひとつ指定する」と代わっている。
つまり『目標』=『対象』だと言う事だ。

こういう考え方を示す事で、「〜の目標にならない」と言うアビリティを持っているキャラクターは、効果範囲が「目標」のカードは目標を取っているから効果を受けず、効果範囲が「範囲」のカードは目標を取っていないから効果を受けると解釈できる。この考え方は非常にMtGライクで、自分のようなMtG上がりのプレーヤーには理解し易い。

「エンパシー」とか「ポイズンクラウド」とかの、今までに出てきたパワーカードに効果を発揮するカードは、パワーカードが『目標』だと考えられてきた。そう考える事で、QA-1348,QA-2027,QA-2048,QA-2150などは整合性が付けられてきていた。だから、効果範囲が「目標」のカードにおいて、『対象』として≪≫でくくられるべきは「パワーカード」であり、「ミッドナイト・ランデブー」のテキストは変だと言う主張をして来たのです。
では、具体的にどう直せば良いのか?
この手のカードは、宣言時に1人のキャラクターを指定し、そのキャラクターにセットされているパワーカード全体が目標となっていると考える。そして、解決時に目標から何枚かを選んで捨て札すると考えてきた。こう考える事で、

  • 宣言時に捨て札する2枚まで指定し、レスポンスで指定された2枚をコストとして使ってしまえば、解決時に目標が無いのでパワーカードの捨て札が発生しない、と言う話にはならない事
  • 効果範囲が「目標」なのに、「目標にならない」キャラクターにも効果を発揮する事
  • 宣言時にセットされていたパワーカードを全て消費した後で何らかの手段でパワーカードをセットする事で、宣言時と解決時で全く違うパワーカードがセットされていても効果を発揮する事

などに折り合いを付けてきていた。
だから、今のカードテキストを大きく変えず、≪≫でくくる位置を変えるなら、以下のようにするべきであろう。

目標の≪キャラクター1人にセットされているパワーカード≫から2枚までを捨て札する。

以上は、今のアクエリのカードテキストから大きく離れない範囲で考えた文言である。本音を言えば、どのタイミングで誰が何を選択するのかも、カードテキストを読むだけで理解できるようにしないとならないと思う。
もし、自分に完全な裁量があるなら「ミッドナイト・ランデブー」のテキストは以下の用にする。

宣言時に1人のキャラクターをあなたが選び、そのキャラクターに≪セットされているパワーカード≫を目標とする。解決時に目標から2枚のカードをあなたが選び、捨て札する。

などと考えていたら「ミッドナイト・ランデブー」自体にエラッタがかかってしまったw

「ミッドナイト・ランデブー」のエラッタに思う事

エラッタの内容をここに引用する。

No.0128 ミッドナイト・ランデブー
(誤) 目標の≪キャラクター1人≫にセットされているパワーカードを2枚まで捨て札する。
(正) ≪あなたの任意の、キャラクター1人にセットされているパワーカード2枚まで≫を捨て札する。

(誤) 属性アイコン(効果範囲):目標
(正) 属性アイコン(効果範囲):範囲

とりあえず、対象がパワーカードである事が明確になったのは良かったと考える。
ただ、相変わらず日本語が変。今回のオフィシャル更新、サバト11でチームを組む面子と調整会をしながら一緒に見たんだけど、みんな第一声は「日本語が良く解らない」という内容だった。
この日本語では「あなたの」が掛かるのが「任意の」なのか「パワーカード2枚まで」なのかが判断つかない。「パニッシュメントII」と同様に後者なのだろうけど、前者だとしたら、自分のテリトリーあるパワーカードしか捨て札できない事となり、
「あなたの任意の」と言う表現が日本語として変と言う、いつもの批判は脇に置いたとしても、「任意の」に掛かるのが「パワーカード2枚まで」なに対し、実際は「キャラクター1人」と「パワーカード2枚まで」の両方を任意に選ぶ事になるのだから、この日本語では消化不良を起こすのは当然の事だと思う。
また、効果範囲が目標から範囲に代わったのも理解し難い。何の為に代わったのか?
「目標ならないキャラクターに対して使用できるのか?」と言う疑問点に対する回答にはなったと思う。が、「効果を受けないキャラクターに対して効果を発揮するのか?」と言う疑問点は相変わらず解決してない。単に、効果の対象が2枚のパワーカードだから範囲にしたのではないのか?
テンプレート統一と言う観点から、「エンパシー」や「ポイズンクラウド」にも、同様のエラッタが必要なのだけど、「エンパシー」は1枚のパワーカードを手札に戻すカードである。これが範囲に代わるとしたら、やはり消化不良を起こすだろう。

また、今回の対応が非常に拙速の感がある。ジャッジMLにて「ミッドナイト・ランデブー」のカードテキストに対する問題を提示する最初のメールが投げられたのは7/15(金)の夕方である。これに対する反応が他のジャッジから出始めたのは7/17(日)である。自分の知らないところで、他のジャッジが「ミッドナイト・ランデブー」のカードテキストに対する問題を投げかけていたのかもしれない。でも、ジャッジMLでの流れと、実際に出たエラッタの内容を見ると、拙速だったと判断しざるを得ないと考えり。

まあ、拙速でも、対応しないよりはマシなんですけどね。