アクエリBレギュレーション(仮) 制定運動<ジャッジ連合>結成式レポ

以下は、7/2に開かれた、アクエリBレギュレーション(仮) 制定運動<ジャッジ連合>結成式のレポである。

事前知識として、FB徳島・カードキングダムの池田店長とブロッコリー木谷会長の関係を考察する

まずは、2004年11月にTCOCの後に開かれたジャッジサミットで聞いた話。スピーチ後の交歓会で、自分は木谷会長を中心とする会話の輪に加わっていたのだが、そこで木谷会長は「池田店長と協力して、カードショップを運営するノウハウを研究・蓄積中」と言った。
なんでも15万人の人口があれば、1軒のカードショップが経営を成り立たせる余地が有るらしい。だから、3000万人の関東圏だけで200軒のカードショップが存在できる計算となるが、実際はそんなにカードショップは存在しない。木谷会長は話の輪に加わっていた社会人レフリーに対して「今の仕事を捨ててカードゲーム屋の店長になれるか?」と言う問いを発する。当然、否定的な答えが返ってくる訳で、木谷会長は「そう言う事が出きるようにしたい」という意図で、池田店長との協力を進めている事を説明してくれた。

次は池田店長側の発言を拾ってみよう。
FB徳島のサイト(http://www.stannet.ne.jp/fb/)は普段からある程度は目を通してるんだけど、池田店長は自分の店の客から上がった意見を、どのTCGでもメーカにぶつけているのが読み取れる。場合によっては、他のFB系列店を巻き込んだ署名活動を行ったり、サイトで呼びかけて意見を募ったりしている。具体的には、DMの『“ボルバルザークを禁止カードに!”運動』がそうだし、バンダイにもドラゴンドライブに関して色々と言っているみたいだし、TI東京に対してもリーフファイトにエキスパンションを出すように働きかけたり、ハーレムマスターランブリングエンジェルに対しても色々と意見を言っている様子。
つまり、自分が商材にしているTCGは自分が遊んでいなくても動く人のようだ。販売店として売っているってのは、単に自分が遊んでいるって以上に重い利害関係者であるのだから、当たり前の話なのだろう。
そう言う活動の中で、木谷会長の目にとまり信頼を厚くして行った様子である。コラム集・カードゲーム戦記内の「東京やさぐれ紀行 完結編」(http://www.stannet.ne.jp/fb/cgame/tokyo2.html)では池田店長が木谷会長と意見交換をした結果、翌日に急遽、中井まれかつ氏を呼んで全国のカードゲーム屋の店長を集めた質問会が開かれた話が書かれている。また、「カードゲームサミット戦記 第1回」(http://www.stannet.ne.jp/fb/cgame/tokyo4.html)〜「カードゲームサミット戦記 第4回」(http://www.stannet.ne.jp/fb/cgame/tokyo4.html)の内容からも、2人の関係が推し量れる。
前出の「池田店長と協力して、カードショップを運営するノウハウを研究・蓄積中」という木谷会長の発言に関連する話題だと、「カードショップ開店!」(http://www.stannet.ne.jp/fb/cgame/lalaport.html)および「カードスポット営業日誌」(http://www.stannet.ne.jp/fb/cgame/lalaport2.html)に、ブロッコリーが協力して郊外型大型デパート・ららぽーと内にあるゲーマーズに「カードスポット」と言うTCG屋を試験的に出す企画を行い、木谷会長自ら足を運んだ記述がある。また、2004年11月16日の裏日記(http://www.stannet.ne.jp/fb/ura/nikki/4.html)には、カードキングダム練馬春日店が開店した経緯が書かれているが、ここにもまた木谷会長が大きく関与した記述がある。

現在のところ、木谷会長が協力したカードショップを運営するノウハウを研究は、カードキングダムのフランチャイズ化と言う形で身を結び、店舗が増えつつあるようだ。池田店長は『遊縁』と言う有限会社を設立し、ノウハウ及び定期的なシングル価格情報の提供を代償にフランチャイズ料を取っている。ブロッコリーの協力の元にカードキングダムのフランチャイズ化に漕ぎ着けたんだから、利益が上がるならブロッコリーと折半するのが筋だと思うが、木谷会長はコレを容認しているようだ。いや、「加盟金30万円、月会費4万円」ってのは、そういう文句が上がるほどの額ではないががが。

以上から、木谷会長と池田店長のそれなりに強固な信頼関係が有る事が伺える。よって、今回のBレギュレーション制定運動が、池田店長の独走ではなく、根回しなどを行っていて少なくとも木谷会長による承諾が存在してるものだと考える。
とは言え、池田店長の言っている事は、FB徳島のサイトでしか確認できないから、事実と違っているっという裏が取れれば、上記の内容はある程度が崩されてしまう。例えば、2004年の3月27日にブロッコリー主催でカードゲームサミットが本当に開かれていたのかとか、SagaII発売前の質問会は本当に池田店長の説明のとおりの経緯で開かれたのかとか。もっとも、嘘や創作があるなら木谷会長とかかも黙っているはずも無く、カードキングダムのような企画が成立するとは思えない。

結成式中の池田店長語録

参加人数とか具体的な内容は、しみゆー氏の上梓した報告書に譲るとして(1点だけ付け加えると、ブロッコリーから1人社員が派遣されて来ていた。カードゲーム課の人間ではなく、会長直属の鈴木さんと言う方で「木谷会長の懐刀」と紹介されていた)、池田店長の気になる発言をピックアップ。

  • 木谷会長に対する根回しはしてある。木谷会長は立場上から応援はできないが、個人的には応援したい内容であるらしい。また、無条件に受け入れるので無く『多くの賛同者を集めたなら』という条件を付けている。要は、スタート段階からは受け入れないが、多くのユーザの声という事になれば、受け入れる余地が有ると言う事だ。

ユーザが個人的に禁止カード・制限カードエラッタを捻り出して、ブロッコリーに採用しろと迫ったとしても無視されるだろう。単純にバランスが取れていないかもしれない。個人の嗜好が強く反映され、その個人が自分の持っていないカード・自分の好きな勢力に対して不利なカードばかりを制約しようと考えているかもしれない。そんなものを受け入れた日には、他のユーザが離れてしまう。だが、何度も遊ばれて、多くのユーザから支持を得ていれば、話は別だと言う事だ。そんな状況で個人の嗜好が強く反映されてるはずもない。

  • 結成式に集まったジャッジの多くが期待している「Q&Aの整理」「統一された詳細ルールの作成」「フロアルールの制定」に関して、ブロッコリーの寺田さんの手によって、既に着手されている。
  • 大改革宣言で先行1ドローが廃止された裏話。

木谷会長・開発スタッフ・池田店長が参加する会議で、池田店長が先行有利を主張するが、開発スタッフ側は「問題無い」との回答を繰り返す。堂々巡りとなるので「実際にデータを取って検証してみましょう」と池田店長が提案。
2005/8/3 訂正
データを取って検証する事を提案したのは、木谷会長

半年ほど各種イベントでデータ取りが行われ、SagaIIルールだけで2000件を越すデータが取られ、20%前後と言う有意な差が存在する事が証明されたのは、ご存知の通り。この結果を見た木谷会長は開発スタッフに対し「問題無いっつーなら、何で今までデータを取らなかったのか!」と激怒。なお、池田店長の説明に対して、2000件のテストデータがあるのにもかかわらずエルフマスター氏が「信頼できない」とか文句付けたのテラワロス。確かにSaga3ルールの「先攻ドロー無し、後攻マリガンあり」を決定する際に取ったデータ数は少ないと思うが、先行有利を証明する為だけに取られた2000件の方は十分に信頼に値する数値だと思われる。

  • 中井まれかつ氏をアクエリから外す事はできない。

中井まれかつ氏を切り、木谷会長の意を受けてユーザの要望をちゃんと受け入れる人間を配置すれば、問題は一挙に解決する事は目に見えているが、同時に中井まれかつ氏は最も比重の高いステークスホルダーなのでとにかく切れないらしい。だから、全ての事象は中井まれかつ氏をアクエリから外せない事を前提に考える事になる。アクエリアンエイジと言う企画における中井まれかつ氏の文系的な発想面は素晴らしいものがあるが、カードデザイン時における数学的な面の弱さは多くのユーザから指摘されている通りの問題である。これを解決すべく、木谷会長から相談を受けた池田店長の提案で、数学(=論理的思考)のできるブロッコリーの人間が中井まれかつ氏のサポートに付いている。

  • ブロッコリーは、企業として「ユーザ間のコミュニケーションツールを作る」と言う発想をもっている。

ただ、実現するまでに時間がかかるし、障壁も存在する(例えば、ジャッジMLの作成は、カードゲームサミットの際に池田店長が提案し木谷会長に受け入れたものらしい。が、2004年3月に木谷会長がGoを出したにもかからわらず、実際にジャッジMLが動き出したのは2004年10月である)。

その理由の最大のものは、アクエリアンエイジが現存する唯一の原作のない国産のTCGだと言う事。アクエリまで市場から無くなるとTCGメーカは「原作物じゃないとTCGは生き残れない」って認識を持ってしまう。

  • デザイナーとしての自我を通そうとする中井まれかつ氏に対して、池田店長は「今やアクエリアンエイジブロッコリーを支える重要なコンテンツとなっている。中井まれかつ氏が作品に対して自我を通してユーザの意見を受け入れなかった結果アクエリがコケた場合、ブロッコリーが倒産なんかしたら、路頭に迷った社員が首を釣る結果になる。そうなった場合、あなたは責任を取れるのか?」と言う趣旨の説得を行った。

多少は効果があったらしい。



以上の池田店長の発言が信頼に足るか否かは、ブロッコリーが着手していると説明した「Q&Aの整理」「統一された詳細ルールの作成」「フロアルールの制定」が実際に行われるかで判断ができると思う。

結成式に参加したジャッジの希望と気配について

今回のBレギュ制定運動で、池田店長から最初に提示された趣旨説明を読んだ公認ジャッジの多くは

・有志のレフリー、ジャッジの議会による、もう一つのアクエリアンエイジ公式ルールの作成。

 アクエリアンエイジのルール改正、禁止カードの設定、エラッタ発行を独自に行い、このルールを、公認大会用レギュレーションの一つとして、ブロッコリーに認めてもらう、という計画。

と言う文言を見て、日頃から感じていた不満に対する解決策として、「Q&Aの整理」「統一された詳細ルールの作成」「フロアルールの制定」をユーザの手で行うと考えて賛同していたようだ。で、この点がブロッコリーによって着手済みであり、Bレギュ制定運動では様子見して取り扱わない事となると、興味が引いてしまった。
池田店長はアクエリに詳しくないから、公認ジャッジが抱いている不満がルール面の不備に集中している事を知らない。当然の話である。個人的には、中井まれかつ氏が対してブロッコリーの寺田さんが付いて不明な点をフォローしているように、池田店長をサポートしているアクエリプレーヤー・公認ジャッジがこの点を先に指摘し、運動の方向性に反映させる、または、寺田さんが「Q&Aの整理」「統一された詳細ルールの作成」「フロアルールの制定」を薦めていると言う情報を先に出すべきであったと思われる。
後で、池田店長は「ルールの不備にこだわるのは、底無し沼を埋めるようなものだ」と評した。確かに、Bレギュの議会制度の中で1から整備するのは無理がある。1人または数人のグループで集中的に作業を行い、成果物を議会の中で審議し承認を得てBレギュのルール案とするぐらいしか方法はないだろう。

私見

池田店長の話が面白く、結成式が解散した後も数人と残って、日が変わるまで色々と話し込んでしまった。その中で、池田店長のゲームに対する考えを色々と知る事ができた。確かに池田店長はアクエリには明るくない(例えば、「アブソリューション」の事を「アブソリュート」と呼んだりしてる事とか)が、自らプレイしてるLyceeやDMに関しては言う事がチャンとしている。特にLyceeは自分もプレイしているから内容がよくわかる。池田店長のTCGに対する考えは、自分の考えと合致する事が多く、信頼に値すると判断した。

池田店長がBレギュレーションを作ろうとした意図を、自分は以下の様に解釈した。
TCGってのは、メタゲームと言う作用があって、付け入る隙の無い1ターンKILLコンボでもない限り、バランスが取れているように見える。数枚の壊れカードがあったとしても、それを中心にメタゲームが発生し、多少はバリエーションがあるように見える。
つまり、自分みたいなトーナメントレベルで遊ぶプレーヤーからすれば、何か1種類にデッキタイプが固定されず、デッキがタイプが数種類あってその中でメタゲームが回るのであれば、十分バランスが取れているように考えて来た。そういう観点からすれば、「今のアクエリの禁止カードが必要か?」と言う問いに関する答えは「NO」だ。
ところが、1歩引いて、トーナメントレベルを必死には追わないプレーヤー層のことを考えてみよう。このプレーヤー層ってのは、ネットや雑誌で紹介された強いデッキをコピーして勝つのではなく、「デッキは自分でデザインして作る事ができる」と言うTCGの楽しみを最大限に味わう為に、自分が作ったデッキで勝つ事を楽しみにしている層だとも言い換えて良い。彼らにとって、数枚の壊れカードに支配される環境ってのは、何かオリジナルなデッキを組もうとしても、壊れカードのせいでそのデッキタイプ自体が意味がなかったり、効率の面で最適解を求めると数種類のトーナメントデッキに行き付く=トーナメントデッキの性能が余りにも高過ぎたりで、あまり面白い環境とは言えない。
ここで、数枚の壊れカードを環境から除いてやるとどうなるか? トーナメントレベルでは、壊れカードの次に来ているカードパワーが高いカードを中心にメタゲームが回り、新エキスパンションが出たのと大差ない影響となる。つまり、その時点でカードパワーの高いカードを禁止しても、次いでカードパワーの高いカードを中心とした環境になるので、意味が無いと言うシニカルな批判が成立する。が、壊れカードの存在で封じられていたデッキタイプが復活する点や、トーナメントデッキの性能が低くなる事でオリジナルのデッキを作った場合の差が小さくなる点から、トーナメントレベルから1歩引けば、色々なデッキを試せる面白い環境になるといえる。
こう言う手入れが、池田店長の目指すBレギュレーションの目的なんだと思った。
メタゲームを読んで適切なデッキを選択するのもTCGの楽しみであれば、オリジナルのデッキで勝ちを狙うのもTCGの楽しみでもある。そりゃ、CC出場を考えて勝ちを目指せば、「オリジナルデッキで勝ちを狙う」なんて言う効率の悪い事なんてやってられない。だが、CCに行く旅費とかってのは、カードの売上全体から広告費用の一部として賄われるものだ。酷いってーか他人を見下した言い方になるけど、自分より程度・練度・投資金額が低いレベルで楽しんでいる人達をもう少し尊重するべきではないかと。

まあ、アクエリだと、今のスタンで数枚の壊れカードとして挙がるカードに間違い無く「魔切り」「アブソリューション」が含まれており、「双魚宮の深淵」「情熱の白羊宮」収録のカードには、この2枚のカウンターカードの存在を前提とした、通れば強烈な効果を発揮するカードが多数収録されている。だから「魔切り」「アブソリューション」だけを禁止しても、目指す効果が得られるかは疑問がある。また逆に、エキスパンション・コンバートの後は、「魔切り」「アブソリューション」が消えるけど「情熱の白羊宮」収録のカードがスタンダードに残るわけで、この2枚の存在を前提としてるカードたちが暴れ出す可能性は否定できない。

あと、池田店長は議会の仕組み作りだけして、動き出したら手を引くと言う趣旨の発言をしていることに対し、「無責任だ」と言う批判があるが、これは的外れだと思う。むしろ、池田店長はアクエリに明るくないのだから、早々に手を引くのは正しい判断だと思った。
同様に「アクエリの何が問題で、どう変えたいか」と言う具体的なビジョンを示していない事に対する批判も、単にアクエリに明るくないことを突いているだけで、本質から外れた批判だと思った。「中井まれかつ氏がデザイナーとして問題があり、アクエリに対する自我を主張してユーザの意見が受け入れられないから、ユーザが主体で別ルールを作る」ってのは、この上なく明確なビジョンだと考えられる。
ぶっちゃけ、池田店長は木谷会長から「アクエリのユーザが抱える不満をなかなか解消できない」事を常日頃から相談されいる節がある。何つーか、木谷会長に頼られて色々と献策していたして来た人間に対して「アクエリ知らないのに口出すな」的な批判はねーだろ?と思うわけですよ。そのくらいの事実、FB徳島のサイト(http://www.stannet.ne.jp/fb/)を多少は拾い読みすれば解る話だと思ってたんだけど。

落穂拾い

遊宝洞が開発するゲームのテストプレイに参加している話も幾つか聞いた。その中で、遊宝洞ではきっちりとマイルストーンを設けて開発を行っていると言う話が出た。ソフトウェア開発に携わる人間としては、何らかの製品を仕事として開発するのに際して、納期と言うものがある以上、そんな基本的なプロジェクト管理は行って当たり前だと考えていたので、逆の意味でショックを受けてしまった。つまり、池田店長の知る他の開発会社では、TCGの開発でプロジェクト管理すらロクに行っていないことを意味する。どのTCGの事かは知らないがw