圧縮刹那式の問題

どんなデッキで、どういう動きをするかは、↓を参照。
http://diarynote.jp/d/65764/20060702.html

一般論として、複数の人間で行うゲームにおいて、1人のプレーヤーだけがゲームを行い、他のプレーヤーは見ているだけって状況、ソリティア(1人遊び)状態になるのは、非難されるべき状況である。コンピュータゲームならバグ扱いだし、電源不要系のゲームだったら欠陥ゲームの扱いを受けて各自ヴァリアントルールを工夫して対処したり、推奨されないプレイスタイルとして排除される。
自分は圧縮刹那式デッキのことを、対戦格闘ゲームにおける『ハメ』や、TRPGにおける『吟遊詩人マスタリング』(吟遊詩人マスタリングを行うゲームマスターは「吟遊詩人マスター」と呼ばれる)と同等なものと認識している。

『ハメ』と言うのを簡単に説明すると以下の通り。
対戦格闘ゲームでは攻撃を受けると一定時間、操作が出来ない状態になる場合がある。これを硬化時間と呼んだりする。硬化時間の最中に別の攻撃が入り、また硬化時間になるのを連続的に繰り返せる場合、ハメとなる。これに陥ると、ハメられている側は何の操作もできないままゲームが終る。
製作元はバグとして続編を作る際には必ず排除するし、ゲームセンターなどでは「ハメは禁止」というローカルルールがあったり、ローカルルールが無くても自主規制する事が暗黙の了解になっていたりする。

次に『吟遊詩人マスタリング』と言うのを簡単に説明すると以下の通り。
TRPGゲームマスターという役割の人が、他のプレーヤーの行動に応じてゲームを進行する。が、プレーヤーの行動を受け入れず、自分が用意してきたシナリオ通りにゲームを進行させるのは、『吟遊詩人マスタリング』と呼ばれている。これをされると、他のプレーヤーはゲームを遊んでいるんじゃなくて、マスターの考えてきたシナリオを聞かされるだけの状態になる。
推奨されないプレイスタイル・マスタリングスタイルとされているし、PBM,PBeMという通信を介して行う大規模なTRPGみたいな物では、過去にこういう行為を行ったマスターは批判されて、参加が避けられる傾向にある。

TCGってのは、自分の行動により相手のリソースを奪う、それをお互いに繰り返すから対戦ゲームとして成立する。まぁ、中には1枚でゲームの決着がつくような莫大なリソースを得れるカードもあって、アクエリじゃ「ぶっぱゲー」って言われて嫌われてるけど。そう言うカードを使うには時間がかかる。単純にファクター・コストが重くて時間かかるのもあるけど、「ストーム・ブリンガー」とか「パニッシュメントII」とかは決定的なリソース差にするには、ある程度ゲームが進行してないとならない。それまでは対戦ゲームに成っている。
圧縮刹那式は、3ターン目辺りに起動したら、片方のプレーヤーが手札を増やすカードを使いつづけて、手札が溜まったら式神刹那式をプレイするだけで、全然対戦ゲームに成っていない。『ハメ』や『吟遊詩人マスタリング』と同等のソリティアである。

TCGの歴史的に見て、この手のソリティアになるデッキを放置しているTCGは滅び、生き延びてるTCGではちゃんと対処を行っている。
ソリティアを対処し切れずに滅んだ例としてはKanonTCGが挙げられる。
対処を行っている例を挙げればMTGの「MoMAの冬」だろう。
http://mtgwiki.com/MoMa
注目したいのは、キーカードである「Mind Over Matter / 精神力」を禁止カードにしで環境から完全に追い出す決断を下すまで半年の時間がかかり、その間に2回の禁止カードを出している事だ。
MoMAは高効率なパーツを禁止にして起動確率が下がり起動ターンを遅らされていた。が、それでもメタの一角を占め続けていた。
禁止カードが出る前は圧縮刹那式より酷かったが、「Mind Over Matter / 精神力」が禁止カードにされる直前のMoMAは、今の圧縮式神刹那式よりも起動ターンや起動確率では劣っていた。それでも「Mind Over Matter / 精神力」を禁止カードにされて、環境から追放された。

長い事TCGをやってきたプレーヤーとして、自分は「ソリティアなデッキがメタの中心なまま放置されているTCGはダメだ」と判断を下す。アクエリに関して言えば、SagaI〜SagaIIの時代は、数回の例外を除いて、割と敏速にこの手のデッキに対処してきたと判断している。
具体的には以下だ。
・「グングニール・スピアー」+「アタック宣言したら1ドロー」のドローエンジン
・「エンチャントレス」+「息吹永世」による捨て札無限回収サイクル
・「六道辻」+「ロケットプースター」+「アタック宣言したら1ドロー」のドローエンジン
・BCB+「スケイルドラグーン」等+「クローニング」等による捨て札無限回収サイクル
・「瑪瑙」+「テレパシー」によるテレパシー無限使用のコンボ
・「デメテル」+「マリオネットタイド」による無限アタック
・「ドレス」+「服部忍」(or「ブレイブカイザー」)のドレス無限使用のコンボ
「クロス・ファイア“なつきとふぶき”」無限ブレイクコンボ
また、セット1ドローにエラッタを出した際、次のような声明を出している。
http://www.aquarian-age.org/eratta/user.html

こういった無限コンボや2ターンキルといった、対戦相手にゲームをさせないデッキが構築可能であることは、今後のアクエリアンエイジ、ひいて現在アクエリアンエイジを楽しんでくださっているユーザーの皆さんにかなりの悪影響があると判断しました。
 ゲームが楽しければ、負けても人は決して不愉快にはなりません。

数回の例外があったものの、こういう姿勢を打ち出しているのだから、自分はブロッコリーを信頼してアクエリを買いつづけてきた。
数回の例外というのは、SagaII末期に「五雷法」「聞仲」「着せ替えメイド」にエラッタを出さなかった事だ。
アクエリは、ユーザが割と大人というか、そこまでガチに勝ちを目指してないと言う部分があって、この手のソリティアになるデッキを自主規制する傾向にある。

メタの一角にあるデッキで、対策可能だから問題無い、と言う意見を聞くが、それはあくまで「勝つ為」の話。対戦ゲームを楽しむための話ではない。また、「勝つ為」じゃなくて、「対戦ゲームにする為」に対策カードを入れなきゃ成らなくて、それでデッキの構築幅が狭まるのは勘弁願いたい。
前述のMTGにおけるMoMAだって、全く禁止カードが無い一番最初の性能が一番高かった時期でさえ、メタゲームが成立しており、アンチデッキが存在していた。つまり対策可能ではあった。

デザインチームが今の形の圧縮刹那式を想定し、その上で問題が無いと判断したとは自分は考えていない。誤解しないで欲しいのは、デザインチームが無能だと言いたいのでないという事。デザインチームが行ったテストプレイの工数と、カードが発表されてからプレーヤーがデッキを試す工数は、桁違いの差がある。テストプレイで見落とされたデッキがユーザに発見される事は、1エキスパンションに2年の開発期間を設けているMTGですらよくある話。
出してしまったものは仕方ないとして、対応しないより敏速な対応をお願いしたいと考える。
「アクエリでは、高確率で3ターン目にゲームが終るMoMAみたいなソリティアデッキが放置されている」って事になると、「ブロッコリーはそんな対戦ゲームに成っていない状況を放置してるのか」って話になる。そうなると、アクエリだけでなく、他にブロッコリーが展開してるTCGも、始めるのが躊躇われる事態になるだろう。

遊んでいて面白くないゲームをやり続けるほど、人は暇じゃあません。ソリティアになるデッキを放置したら、確実にプレーヤーが減るでしょう。
正直、こんな文句を言う自分もさっさとアクエリに見切りをつけるべきなのかもしれませんが、アクエリの基本的スタンスは「対戦ゲームにならないデッキは追放」なんで、多少のミスかもしれないものでアクエリ辞めるのは、今までに投資したリソースが勿体無いんですよ。