『逆襲の巨蟹宮』でテキストや裁定に疑問のあるカード達

既に、うにょさんのブログ(http://u-nyo.seesaa.net/article/4747736.html及びhttp://u-nyo.seesaa.net/article/4788245.html)で指摘された内容が大半だけど、複数のブログで取り扱う事に意味はあるし、私見を付け加えたりしたいので。

その1 デューク・フリーズ”フリードリヒ・フォン・アイヒェンドルフ”

カードテキストは以下の通り。

≪パワー0のキャラクター≫のスキル・エフェクトを無効化する。
1:メインフェイズ終了時まで、目標の≪キャラクター1人≫のスキルまたはエフェクト1つを無効化する。

ここで1つ疑問が出る。精神力が1以上でパワーが0のキャラクターがチャージを持っていた場合、パワーカードフェーズ中にパワーが1以上になったら、そのキャラクターのチャージを使用できるのか?
この疑問に対する回答は、初期Q&Aに含まれていない。
これを解くには以下のQ&Aを参照すればよい。

ジン(1089)
QA-2313
何らかの効果で《ジン》の精神力を上昇させました。
このとき、パワーカードフェイズにパワーカードをセットすることができるようになりますが、 このときに精神力が1上がるのでさらにパワーカードをセットすることができるようになり、結果として無限にパワーカードをセットできるということになるのでしょうか? (2004/05/20更新)
その通りです。

ジン(1089)
応龍(502)
QA-2619
《ジン》に《応龍》がセットされている場合、1回のパワーカードフェイズで《ジン》に新たにセット出来るパワーカードは1枚だけでしょうか?それとも、精神力が直ちに変更され、1回のパワーカードフェイズで何枚でもパワーカードがセット出来るのでしょうか? (2005/05/17更新)
はい、精神力は直ちに変更されるので、何枚でもパワーカードをセットすることが可能です。

華道部員“剣ヶ峰 かほり”(685)
華道部員“剣ヶ峰 かほり”(713)

QA-1236
《華道部員“剣ヶ峰 かほり”》のチャージXは、パワーカードフェイズに手札からパワーカードをセットした結果の数値をXとして使用できるのでしょうか? (2002/11/01更新)
いいえ。Xの数値はパワーカードフェイズに入った時点のパワーになります。

結論として、以下のことが言えると思う。パワーカードフェーズ中でも、パワーが変わればXもただちに変更される。ただし、チャージの数はパワーカードフェーズに入った時点で数えられ、その後に増減しても変更されない。

この疑問点、デューク・フリーズ”フリードリヒ・フォン・アイヒェンドルフ”を使ったら、すぐにでも直面する話である。初期Q&Aで挙げられている、エフェクトの方を使用宣言した瞬間にパワーが0になる状況より多発しているはずである。テストプレイで、このカードを使ったデッキと何人か対戦していれば、何度か疑問が上がり、初期Q&Aに加えようと言う話になって当然だと考える。
初期Q&Aを充実させる為の疑念の提出も、ユーザによるテストプレイの目的の1つでは無かったのか?

ユーザによるテストプレイが実施された、と仮定するなら。


ユーザによるテストプレイが実施された、と仮定するなら。


ユーザによるテストプレイが実施された、と仮定するなら。


ユーザによるテストプレイにデューク・フリーズ”フリードリヒ・フォン・アイヒェンドルフ”が供された、と仮定するなら。


その2 ミッドナイト・ランデブー

要は「≪≫囲い」が変だと言う話です。

まずは、「≪≫囲い」に対する説明(ルールブックのP28)を引用します。

■≪ ≫ (対象)
≪ ≫で囲まれたテキストは、そのカードがどれを対象に効果を発揮するかをあらわしています。

次にルールブックのP28にある、属性アイコンの説明の中から、効果範囲:目標に対する説明を引用します。

目標:カードの効果をあたえる対象をひとつ指定するカードです。

つまり、効果範囲が『目標』のカードでは、『対象=目標』と定義されてます。で、対象は≪≫囲いされています。
上記を頭に入れて、以下を読み比べてください。

ミッドナイト・ランデブーのテキスト

目標の≪キャラクター1人≫にセットされているパワーカードを2枚まで捨て札する。

Q. FAQ-48
「ミッドナイト・ランデブー」にレスポンスして、「ミッドナイト・ランデブー」の対象となったキャラクターの勢力を指定し、「カバラクロス」を使用しました。このままレスポンスが処理された場合、どうなるのでしょうか?
A. まず「カバラクロス」が効果を発揮し、メインフェイズ終了時まで、指定した勢力ひとつの、あなたの支配キャラクター全ては、ダークロアのプロジェクトカード・ファストカードの効果を受けなくなります。
続いて「ミッドナイト・ランデブー」が効果を発揮します。「ミッドナイト・ランデブー」の効果の対象はパワーカードですので、通常通り効果を発揮します。

「効果の対象はパワーカード」とか言ってますが、対象は≪≫囲いされてるのではなかったのか?


そもそも、こんなQ&A群が並立してる事自体が問題なわけで。

インキュバス(154)
インキュバス(1072)
エンパシー(459)
ヒュプノスの揺篭(368)
呪紋(119)
呪紋(1016)

QA-1348
インキュバス》、《ヒュプノスの揺篭》、《エンパシー》は、キャラクターではなくパワーカードが目標なので、《呪紋》では効果を防げないのでしょうか? (2002/11/01更新)
その通りです。

エンパシー(66)
ヒュプノスの揺篭(311)
プロテクションシールド(71)
ポイズンクラウド(227)
マグネティックフィールド(64)
魔弾タスラム(308)
鳴弦の儀(146)
蝋人形(388)

QA-2027
ブレイクしているキャラクターひとりを目標にする、パワーカードに効果を及ぼすプロジェクトカードの効果を、《プロテクションシールド》で防ぐ事はできるのでしょうか? (2002/11/01更新)
いいえ、パワーカードを目標とするカードの効果は防げません。

エンパシー(66)
ヒュプノスの揺篭(311)
ポイズンクラウド(227)
マグネティックフィールド(64)
身代わり人形(399)
魔弾タスラム(308)
鳴弦の儀(146)
蝋人形(388)

QA-2048
《身代わり人形》の効果を受けている、ブレイクしている自分の支配キャラクターが、パワーカードに効果を及ぼすプロジェクトカードの目標になった場合、《身代わり人形》の効果は発揮されるのでしょうか? (2002/11/01更新)
いいえ、発揮されません。

エンパシー(66)
ポイズンクラウド(227)
マグネティックフィールド(64)
魔弾タスラム(308)
鳴弦の儀(146)
蝋人形(388)

QA-2337
キャラクターひとりを目標にする、パワーカードに効果を及ぼすプロジェクトカードの使用にレスポンスして、なんらかの効果でプロジェクトカードが使用されたときにセットされていたパワーカードが場から除去され、別のパワーカードがセットされた場合、レスポンスの最初で使用されたプロジェクトカードの効果で、セットされた別のパワーカードを捨て札することはできるのでしょうか? (2004/06/08更新)
はい、可能です。

エンパシーその他は「パワーカードを目標」にしてるのか?「キャラクターひとりを目標にする、パワーカードに効果を及ぼす」プロジェクトカードなのかが判断つかない訳です。
そもそも、テキスト内の対象を≪≫で囲う事は「テキストを読みやすく、わかりやすくする」と言う大改革宣言の成果な訳ですが、そもそも「テキストがわかりにくい」って批判の代表的なものに、この手のパワーカードを捨て札する系統のカードの対象がキャラクターなのかパワーカードなのか不明な事が挙げられる。そう言う問題を解決する為の≪≫囲いのはずであるが、現実には曖昧なままである。

開発チームは、こう言うユーザの批判を真摯には受けとめず、販社から言われたから適当に対象っぽいものを≪≫で囲ったのではないか? そう言う疑念が沸きあがる。
だとしても、ユーザによるテストプレイが実施されたのだから、その段階で指摘があって不思議ではない。
寺田さん(ブロッコリーのコンテンツ開発部カードゲーム課の担当者)がジャッジMLに流したメールでも、テストプレイの目的について、

まずテキストの解釈や間違いを探すのもテストプレイの一部でありますし、カードのバランス調整もテストプレイの一部です。

と述べている。

ユーザによるテストプレイが実施された、と仮定するなら。


ユーザによるテストプレイが実施された、と仮定するなら。


ユーザによるテストプレイが実施された、と仮定するなら。


ユーザによるテストプレイに供されたカードのテキストがちゃんと≪≫囲いされていた、と仮定するなら。


その3 大山津祇

やっぱり、Saga3になってもテキストの省略が続いていると言う事。見方によっては、SagaII時代より酷くなっているといえるかもしれない。その結果「大山津祇を使った場合、同時にアタック宣言したキャラクターの内1体しかガード宣言されず、残りは必ず相手に通る」と言うマンチキンを主張する余地が存在してしまっている。

「大山津祇」と「コンビネーション・アタック」のテキストを読み比べて欲しい。

大山津祇のテキスト

メインフェイズ終了時まで、≪あなた≫は、X人までの支配キャラクターで同時にアタック宣言可能。
≪アタック宣言されたプレイヤー≫は、このアタック宣言に対して、X人までの支配キャラクターで同時にガード宣言可能。
Xはあなたのダメージ置き場のカード枚数に等しい。

コンビネーション・アタックのテキスト

ターン終了時まで、あなたは支配キャラクターふたりで同時に対戦相手ひとりにアタック宣言できる。 これに対してその対戦相手はキャラクターごとにガード宣言できる。

ガード宣言ってのは、1体で行い、しかも、アタック宣言に対する直接のレスポンスでしかできない。だから、同時に行われる複数のアタック宣言に対して、それぞれに対してガード宣言が可能と明言されないと、1つのアタック宣言に対してしてガード宣言できないと言う話になる。
「同時にガード宣言可能」という言いまわしは、「マインドリンク」と同様に1体のアタック宣言したキャラクターに対し複数のキャラクターでガード宣言できると言うように読み取れるし、「コンビネーション・アタック」の様に同時に発生した複数のアタック宣言に対して、それぞれにガード宣言できるようになったとも読み取れる。だが、「コンビネーション・アタック」とは全く違う言い回しなので、同じ事を意味してるとは考えにくい。
また逆に、「大山津祇」で複数体のアタック宣言に対してそれぞれにガード宣言できると仮定して、複数のキャラクターが同時にアタック宣言して来たとしても、1体のファッティで全部に対してガード宣言すれば良いだけの話ではないか?と言う事にもなる。それだと、このカードの存在意義が薄くなる。まあ、この点は「コンビネーション・アタック」の時はカードテキストでは言及されておらず、QA-2163でフォローしたと言う経緯がある。「大山津祇」をデザインする際に「コンビネーション・アタック」が念頭に有るなら、この点を考慮したテキストになって当然ではないか?

そして、「大山津祇」に対して出されている初期Q&Aは以下の1件のみであった。

Q. FAQ-49
「大山津祇」でXが5の状況で、5人で同時にアタック宣言されました。
この場合、どのようにガード宣言する事ができるのでしょうか?
A. まず、同時にガード宣言できる最大数は5です。アタック宣言したキャラクター1人に対し、最大で5人同時にガード宣言する事ができますが、その場合他の4人に対してガード宣言を行うことはできません。同時にガードした場合、攻撃力は合計されず、ガードしたキャラクターの攻撃力はそれぞれに与えられます。

まず、「同時にガード宣言可能」という言いまわしは、「マインドリンク」と同様に1体のアタック宣言したキャラクターに対し複数のキャラクターでガード宣言できると言うように読むのが正しい事が判る。
で、これを素直に読むと、アタック宣言したキャラクター1人に対してのみ、5人まででガード宣言可能で、アタック宣言したキャラクター1人に対して1人でもガード宣言した場合(=その場合)他の4人に対してガード宣言を行うことができない言う事になる。
つまり「大山津祇」は、同時にアタック宣言したキャラクターの内1体だけがガード宣言され、残りはガード宣言されないと言う、非常に突破力の強いカードと言う事になる。

また、アタック宣言したそれぞれのキャラクターに対してそれぞれキャラクターを選んで別々のガード宣言ができる事は示されておらず、アタック宣言した複数のキャラクターを一人の同じキャラクターでガード宣言できない事も示されていない。、Saga3から始めたプレーヤーは『金牛宮の猛襲』に収録されている「コンビネーション・アタック」なんてカードの存在を知っているはずがない。「コンビネーション・アタック」に対して出されている質問の大半を、初期Q&Aでフォローするべきではなかったのか?

「大山津祇」に関する問題点は3点。

    • 1点目は、十分な説明を省いたテキストのせいで、カードの効果を正しく把握できないと言う事。
    • 2点目は、初期Q&Aの不足が、カード効果の理解を阻んでいると言う事。
    • 3点目は、初期Q&Aの日本語が一意に解釈できる文言でない為、マンチキンを企む人間に付け込む隙を与えている事。

カードテキストのチェックや、初期Q&Aを充実させる為の疑念の提出は、ユーザによるテストプレイの目的の1つでは無かったのか?

ユーザによるテストプレイが実施された、と仮定するなら。


ユーザによるテストプレイが実施された、と仮定するなら。


ユーザによるテストプレイが実施された、と仮定するなら。


ユーザによるテストプレイに大山津祇が供された、と仮定するなら。